現在の都市の交通状況が悪いと考えている人は、自律自動車が登場して、あたりを走り回り、高額な駐車料金も支払わなくてすむようになるのを待っているかもしれない。
だが、無人運転乗用車は交通渋滞に拍車をかけることになるだろう。なぜなら、駐車しているよりも走行し続ける方が安上がりだからだ。カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)で環境学を研究するアダム・ミラード=ボール准教授は、学術雑誌『交通政策(Transport Policy)』で上記のように述べている。さらに悪いことに、低速で走るほどコストが安くなるため、無人乗用車はゆっくりと走行し、結果として全体がのろのろ運転になる恐れがある。「自律型自動車は大混乱を引き起こすあらゆる誘因をはらんでいます」と、ミラード=ボール准教授は述べる。
ミラード=ボール准教授が、ゲーム理論と交通シミュレーションモデルを組み合わせて予測したところ、最良の場合のシナリオ下では、サンフランシスコ市街地にわずか2000台の自動運転車が走行するだけで、全体の交通速度を時速3.2キロメートル未満に鈍化させることが分かった。
ミラード=ボール准教授は、ドライバーが都市の中心部に入る際に定額料金を支払うロンドンやシンガポール、ストックホルムのように、都市が自動運転車に渋滞料金を課すことを提案する。課金するのであれば、自律型自動車が都市を実際に走る前のいまこそ、実行すべきだろう。