まだまだ伸びる訪日外国人の買い物需要
どんな商品を検討しているか、その情報を持つのも強味
Paykeの背景には、拡大する訪日観光客がある。2018年の訪日観光客の数は3119万人に達し、ここ数年は年平均15~19%で伸びている。古田氏は「ダントツで成長率の高いマーケット」と強調する。
少し前には中国人が旺盛な購買意欲を背景に「爆買い」とも呼ばれる現象が起きていたが、2015年頃をピークに鈍化したとも言われている。実際、訪日観光客の消費額は減少している。しかし古田氏は、その動きは為替に連動したもので、円高によって日本円では目減りしたという認識を示す。
中国人民元や米ドルをベースに消費額を算定すると、1人あたりの消費額はなおも増大しているとのことで、まだまだ市場は拡大している。実際、2017年の訪日観光客の消費動向調査によると4兆8000億円と前年比8.7%増でなお増加している。
2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催で、訪日観光客はさらに拡大が期待されている。過去の五輪開催国は、開催後も観光客が拡大しており、日本も同様にさらなる拡大を予想する古田氏。こうした増え続ける観光客に対して、消費をさらに拡大させるためのツールとしてPaykeをアピールする。
「バーコードが物流インフラとしてではなく、情報インフラになる」という古田氏は、これを「バーコード2.0」と表現し、情報を提供するためのツールとして活用する。ただ、古田氏はバーコード使う理由はあくまで現時点で最も有効な手段だからで、画像認識など新たな技術が台頭すればそれも活用しつつ、その裏側のコンテンツが重要との認識だ。
また、バーコード読み取りの情報を集約しており、訪日観光客の購買行動データを保有するのも同社の強みだ。POSでは実際に購入した結果しかデータを集められないのに対し、どのような商品を手に取って検討したかという情報を得られる。
さらに、決済の前の検討段階でクーポンを配布したり、「このシャンプーにはこのリンスがお勧め」といったリコメンドも購入前に示せる。こうした点もPaykeにしかない強みだと胸を張る。
現在、IT企業との実験なども行なっており、新たな機能の提供に向けた取り組みも進めているほか、決済サービス事業者との協業を検討しているという。さらに日本人や各国のユーザーが海外に行ったときに現地の商品の情報を提供できるよう、現地のパートナーと協業して海外でのサービス展開に取り組んでいるとのことだ。