強化学習が功を奏し、四足歩行のロボットが足の踏み出し方を教えなくてもほんの少し本物の動物のように動けるようになってきている。
動物は常にもっともエネルギー効率が良い方法で動いていることから、ロボット工学者は自分たちが作ったロボットに動物の動きを模倣させたいと考えている。しかし、不気味なほど本物そっくりの動きをするボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)のスポットミニ(Spotmini)のようなロボットは通常、人間の手によってプログラミングされている。「エニマル(ANYmal)」と名付けられた犬型ロボットは、強化学習と呼ばれる手法をシミュレーションと組み合わせることで、もっと速く走らせ、転倒しても起き上がれるように訓練したロボットだ。非常に重要なのは、人の手を介さずにそれを実現できたということだ。
強化学習を使ったシミュレーションでは、2000台以上のエニマルに、実時間の1000倍の速さで同時に訓練を実行できる。シュミレーション環境での訓練結果が転送された実際のロボットでは、歩行速度が以前の最高速度を25%上回り、転倒してもひっくり返って起き上がれたという。チューリッヒ工科大学の研究チームは、1月16日付のサイエンス・ロボッティックス誌に掲載された新しい論文でこうした結果について説明している。まだかなり限定的ではあるものの(上の動画を見てほしい)、正しい方向への一歩である。
犬型ロボットを連れて散歩するジェフ・ベゾス以外に興味を示すところはあるのだろうか? 正直なところ、現時点では人々を惹きつける実用的な用途はそれほど多くない。しかし、地下トンネルの検査や建設現場での重い資材の運搬などに、このような四足歩行ロボットが利用される日がいつか来るだろうと研究者は話している。