IBMは人工知能(AI)ツール「プロジェクト・ディベーター(Project Debater)」を、一般向けに初めて公開した。
プロジェクト・ディベーター計画は、AIソフトウェアを使って、テキストを解析して議論を構築するものだ。1月8日にラスベガスで開幕したCESでは、プロジェクト・ディベーターを基礎としたクラウドソーシング型の議論プラットホーム「スピーチ・バイ・クラウド(Speech by Crowd)」がお披露目された。スピーチ・バイ・クラウドは、ある発案に対する賛成意見と反対意見を収集し、寄せられた意見を基にスピーチを巧妙に作り上げる。このシステムは、2月にサンフランシスコで開催されるIBMの最大イベント「THINK 2019」カンファレンスで、ディベートの世界チャンピオンとの対決が決まっている。
IBM基礎研究所(IBM Research)は、米国のクイズ番組「ジェパディ!」に挑戦したワトソン(Watson)システムの後釜として、2011年からプロジェクト・ディベーター用のAIソフトウェア開発に取り組んでおり、2017年6月にその内容をはじめて明らかにした。
プロジェクト・ディベーターは、以前は人間特有の技能だった「議論する能力」を、AIが身に付けはじめていることを示すさらなる証明である。だが、MITテクノロジーレビューのウィル・ナイトAI担当上級編集者が説明するとおり、このシステムは自分が何について話しているのか、より幅広い文脈については理解していない。
IBMは、議論をまとめたり結論を導き出したりするためのツールとして売り込んでおり、議会や学界、法曹界、さらにはビジネス分野での普及を目指しているという。