グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が12月11日に出席した3時間におよぶ米国下院司法委員会の公聴会では、ほとんどの政治家がテクノロジーに関していかに無知であるか? ということを確認した以外、ほとんど何の収穫もなかった。
ピチャイCEOは質問に対し、徹底して回避的な姿勢をとりながらも、物議を醸している「ドラゴンフライ(Dragonfly)」計画について言及し、グーグルが中国市場への再参入を目指していることを認めた。ピチャイCEOは、同プロジェクトは「内部的」なものであり、「今すぐ」には中国で製品を提供する計画はないと述べている。また、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)については、「よく考え抜かれ、巧妙に作られた法律」と評しながら、米国の国家データ保護法への支持を表明した。
「おバカ大賞」候補にふさわしい議員も何人かいた。アイオワ州選出のスティーブ・キング議員は、グーグルはアイフォーンの製造企業ではないということに気がついていないようだった。別の議員は、グーグルの検索結果が共和党に不利になるように偏っていると確信している共和党員から出された一連の(無駄な)質問の一環として、グーグルで「ばか」という言葉を検索するとドナルド・トランプ大統領の画像が現れるのはなぜなのか、ピチャイCEOに説明を求めた。テキサス州選出のテッド・ポー議員は、部屋の端から端まで歩いた場合、グーグルはそれを感知できるのかどうか知りたいと聞いたのに対し、ピチャイCEOは「デフォルトの設定ではできない」と答え、どのアプリがインストールされているかによると説明した。そんな中、ロードアイランド州選出のデイビッド・シシリーニ議員は、ピチャイCEOからドラゴンフライに関するなんらかの答えを引き出すためにもっとも健闘したとして評価できる。
次回の公聴会では、陰謀説の拡散におけるユーチューブの役割、グーグルの膨大なデータ収集マシンとその保護管理の実態(グーグルプラス への2回目のハッキングが今週明るみに出た)、グーグルの反競争的な姿勢などについて、もっと質問してみたら面白いだろう。