12月5日、東銀座のビルのレンタルスペースで「KAZUNA eTalk 5」という名の携帯翻訳機の製品発表が行われた。記者席には空きが目立ち、決して盛況とは言い難い状況だったが、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の取材カメラが入っており、小さな会社の製品発表以上の「何かがある」と感じさせるに十分な雰囲気が漂っていた。
それもそのはず、今回の製品を送り出したのは、約1年前の12月4日に、負債総額約26億円で民事再生法適用を申請したプラスワン・マーケティング(POM)の代表 増田 薫氏だ。一般には、ブランド名のFREETEL(フリーテル)と紹介したほうが理解してもらえるであろう。
有名芸能人を起用した派手な広告宣伝やMVNO事業者として、アグレッシブな設備投資を実施し話題をさらった企業の破綻だった。その直前には、楽天への通信事業売却が大きなニュースになっただけに、メディアや業界関係者の耳目を集める結果となった。
そのような破綻劇から、1年という短い時間で再び表舞台に登場しただけに、一部には驚きの声も聞こえてくる。「この1年、POM時代に培った人間関係のつながりで、いろいろな人が助けてくれました」(増田氏)と話す。かつては、フリーテル端末を中国でODM生産していたわけだが、今回のKAZUNA eTalk 5も同様だ。「当時おつきあいがあった中国の仲間の応援があったからこそ今回の翻訳機が実現しました」(増田氏)という。