多額のキャッシュが必要になり、広告宣伝は抑制される:
日本の仮想通貨取引所 規制強化で淘汰進む
2018年12月03日 09時00分更新
日の丸と仮想通貨 Marco Verch
仮想通貨をめぐる、新しい規制の姿の大枠が見えてきた。
金融庁が2018年11月26日に開いた「仮想通貨交換業等に関する研究会(第10回)」で、同年春以降に検討を重ねてきた今後の規制のあり方について「論点整理」を公表した。
整理された論点の内容から読み取れるのは、ハッキングによる仮想通貨の流出対策など、交換業者側のコスト負担増だ。現時点で交換業者はみなし業者を含めて18社あるが、さらなる淘汰が進む可能性が高まった。
●名前は「暗号資産」に
まず、仮想通貨は今後「仮想通貨」と呼ばれなくなりそうだ。
2017年4月に改正資金決済法が施行された当時は、仮想通貨の決済手段としての機能が注目されていたため、法律でも「仮想通貨」の呼称が採用された。しかし、仮想通貨による決済はなかなか広がらず、投資あるいは投機の対象となっている。
こうした背景から、2018年3月にアルゼンチンで開かれた「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議」(G20)の声明では、「暗号資産」(Crypto Asset)という言葉が使われた。
日本の金融庁も「論点整理」の中で、国際的な動向等を踏まえて、暗号資産に変更するとの方向性を示した。
●弁済原資の確保
仮想通貨取引所はハッキングのリスクにさらされている。2018年に起きたコインチェックとZaifの巨額流出事案では、インターネット上に接続された状態で仮想通貨を管理する「ホットウォレット」から仮想通貨が盗まれた。
コインチェックの事件では、利用者に対して日本円で補償されたが、仮想通貨価格の変動により、流出が起きたときの価格より低い価格で算出された金額が支払われた。
こうした事例から、金融庁は取引所に対し、ホットウォレットで管理する仮想通貨と同額以上の仮想通貨の保持を求める考えだ。
たとえば、1000BTC(本稿執筆時点で5億円弱相当)のビットコインをホットウォレット上で管理する場合、取引所側はこれとは別に1000BTC以上のビットコインを用意しておくことが義務付けられる見通しだ。
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