HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)クラウドサービスを提供するエクストリーム-Dは2018年10月30日、AI関連の大量データ分析に対応した新しいHPCサービス「XTREME-Stargate」を発表した。IntelのCPU、高速SSD、スパコン用インターコネクトを実装した自社ベアメタルクラウドを基盤に、データ分析とシミュレーションの両方のワークロードで使える汎用的なHPCサービスを提供する。
エクストリーム-Dは、2015年にエクストリームデザインの社名で創業し、これまでMicrosoft Azureを基盤としたHPCサービス「XTREME-DNA」を提供してきた(2018年の米国市場進出を機に社名を変更)。XTREME-DNAは、テンプレートからおすすめのHPC構成(仮想マシン、OS、ミドルウェア、アプリ)を選ぶだけで、Azure上にセットアップ済みのHPCクラスタを約10分で自動構築してくれるサービス。科学技術計算のシミュレーションなどを、従量課金で実行することができる。
今回、同社にとって2つ目のサービスとして、XTREME-Stargateを発表した。科学技術計算のシミュレーションなど従来のスパコンの機能に加えて、大量データ分析のワークは、ロードにも対応する。新サービスを開発した背景について、同社 代表取締役 柴田直樹氏「AIのためにペタバイト級のデータを集めて計算するニーズが拡大している。大量データを扱う計算は、CPU、I/O、ネットワークのパフォーマンスでバランスのとれたインフラが必要になる」と説明した。
従来サービスのXTREME-DNAは基盤にパブリッククラウドを使っていたのに対して、新サービスのXTREME-Stargateは、さくらインターネットのデータセンターに構築した自社ベアメタルクラウドを基盤とする。「自社で基盤を持つので、従量課金だけでなく、性能に応じた料金などフレキシブルな価格体系で提供できる」(柴田氏)。
XTREME-Stargateは、ベアメタルクラウドの「XTREME-Stargate IaaS」、XTREME-Stargate IaaSを利用するためのWebサービス「XTREME-Stargate Dash Board+HPCテンプレート」、クラウド側での大量データ分析と高速なデータ入出力を実現するストレージサービス「XTREME-Stargate Secure Data I/O」、顧客サイトとクラウドデータセンターをセキュアに接続するゲートウェイアプライアンス「XTREME-Stargate HPC Gateway」の4つで構成される。
XTREME-Stargate IaaSは、Intel Xeon Gold 6148プロセッサ、Intel OmniPath 100Gbpsインターコネクト、Intelのデータセンター向けSSDを実装する。「GPUやFPGAなど用途限定のアクセレレーターは入れておらず、シンプルで汎用的に使える」(柴田氏)。
XTREME-Stargate Dash Board+HPCテンプレートは、WebからXTREME-Stargate IaaSを使うためのGUIダッシュボードとHPCテンプレートを提供するもの。ダッシュボード上でやりたいことをテンプレートから選択すると、IaaS上にコンピューティング環境が自動構築される。データ分析向けのテンプレートでは、主要なオープンソース深層学習フレークワークをどれでも選択可能になっているという。
XTREME-Stargate IaaSとXTREME-Stargate Dash Board+HPCテンプレートは、11月の米国ダラスで開催される国際スパコン学会「SC18」で正式リリースし、12月中に国内でサービス提供を開始する。XTREME-Stargate Secure Data I/Oは2019年3月、XTREME-Stargate HPC Gatewayは2019年4月以降の提供開始を予定する。パブリッククラウドを基盤とするXTREME-DNAも、引き続き提供する。