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Windows Info 第145回

ケーブル直結で設定なしでもWindows機の間で通信可 自動IPアドレス割り当て「APIPA」解説

2018年11月04日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

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APIPA(Automatic Private IP Addressing)とは?

 APIPAとは、WindowsがIPアドレスの割り当てがない場合に、自分のIPアドレスを自動で割り当てる機能だ。このとき、ネットワーク内には、すでに割り当てを受けたコンピューターが動作している可能性もあるため、これらと衝突しないIPアドレスを割り当てる必要がある。

 この際に利用するのが、TCP/IPの「ローカルリンクアドレス」と呼ばれる範囲のIPアドレスだ。この範囲のIPアドレスは、予約済みとなっていて、通常は使われないことがはっきりとしている。

 IPアドレスには、インターネット側でも利用できる「グローバルIPアドレス」、閉じたネットワーク内でのみ利用できる「プライベートIPアドレス」と、その他の「予約済みIPアドレス」に大きく分けられる。ローカルリンクアドレスは、「予約済みIPアドレス」の一種であるため、一般的に利用されることはない。たとえば、インターネットと接続していない閉じたネットワークでTCP/IPを使う場合には、プライベートIPアドレスを使うことになっている。

 このローカルリンクアドレスは、割り当てがない場合に、ローカルで利用する特殊なIPアドレスである。具体的には、169.254.0.0~169.254.255.255までの範囲が予約済みとなっている。

 これを169.254.0.0/16と表現する。これは、169.254.0.0から始まる16bitの範囲(0.0~255.255)という意味だ。ネットマスクを使う方式では、169.254.0.0でネットマスクが255.255.0.0となる。表現が簡潔になるため、ネットマスクを使わず、ネットワーク範囲をビット数で表現する。

 APIPAは、169.254.0.0/16の範囲内で自分のIPアドレスを乱数を使って決定する。ただし、IPアドレスのルールとして「169.254.0.0」(ネットワーク自体を示すアドレス)やブロードキャストアドレス(169.254.255.255)は除外する。乱数でIPアドレス候補を決めたら、ARP(Address Resolution Protocol)を使って、そのIPアドレスがすでに利用されていないかどうかを調べる。

 ARPはIPアドレスを指定して、物理アドレス(MACアドレス)を調べるもので、指定したIPアドレスを持つコンピューターがあれば、必ずこれに応答がある。他のプロトコルでも、IPアドレスの重複は検出できそうだが、ARPと違って、他のプロトコルは、実装が必須ではないため、応答がないからといってそのIPアドレスが使われているかどうかを確認することができない。これに対してARPは、実装が必須である(そもそもARPに対応していないと、IPによる通信ができない)ため、指定したIPアドレスを持つネットワークノード(コンピューター)があれば、必ず返事がある。

 こうして、Windowsはお互いに重複がない169.254.0.0/16のネットワークに乱数を元にしたIPアドレスで接続することになる。ただし、このAPIPAでは、デフォルトルート(ルーターアドレス)やDNSサーバーアドレスの指定はされないため、これらがない状態で動作する。ただ、NetBIOSやWSDによる他のコンピューターの検索機能は有効なので、少なくともWindowsの「ネットワーク」からは、他のWindows PCを見ることが可能だ。

 なお、ローカルリンクアドレスはIPv6にもある。ただし、IPv6のローカルリンクアドレスは、IPv6自体に組み込まれていて、インターフェースのMACアドレスなどを元にして自動的にIPv6アドレスの割り当てる。IPv6では、ローカルリンクアドレスは必須であり、どのノードも必ずローカルリンクアドレスを持つため、IPv6のローカルリンクアドレスは、DHCPの状態などにかかわらず必ず割り当てが行なわれる。

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