B-EN-G「mcframe」を中核とする基幹業務ソリューション「AvantStage」採用、食品製造業向け展開強化
キヤノンITS、マルハニチロの工場データ統合管理基盤を構築
2018年09月25日 10時00分更新
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2018年9月25日、食品製造業のマルハニチロが直営7工場で新たに導入したデータ統合管理基盤「新生産管理システム」を、マルハニチロと共同で構築したと発表した。同システムでは、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向けパッケージ「mcframe」を中核とするキヤノンITSの基幹業務ソリューション「AvantStage」を採用しており、今後、キヤノンITSとB-EN-Gでは“工場改革ソリューション”として食品製造業への販売展開を強化していく。
今回発表されたのは、マルハニチロの直営全工場(7工場)のデータを一元管理するデータ統合管理基盤となる新生産管理システム。マルハニチロでは2015年度から同システムの開発をスタートし、2017年から稼働させている。今後、このシステムをグループ全体に展開し、グループ統合基盤として拡張していく予定。
発表会に出席したキヤノンITSの森永明洋氏によると、マルハニチロでは従来、「各工場で業務プロセスが統一されておらず、生産管理業務は紙やExcel、ホワイトボードといった手作業で運用されていた」という。ここに今回のデータ統合管理基盤を導入し、“生産現場のデジタル化”を図ることで、業務プロセスの標準化/統一、生産スケジュール遅延や作業ミスの抑止、さらに工場の稼働状況や予算編成、損益管理などの一元的な可視化/確認が可能になったという。
今回のシステム構築においては、キヤノンITSの基幹業務トータルソリューション「AvantStage」が採用された。
AvantStageは業務領域特化型パッケージソフト群を組み合わせて提供するソリューションで、実績の高いパッケージソフトをベースにすることにより“高品質/短納期/低コスト”での基幹業務システム導入を実現するというコンセプト。生産管理/原価管理/販売物流パッケージであるB-EN-G「mcframe」を中核に据え、需要予測/需給計画のキヤノンITS「FOREMAST」、生産スケジューラのアスプルーバ「Asprova」、財務会計/人事給与のスーパーストリーム「SuperStream-NX」などで構成されている。
マルハニチロの新生産管理システムでは、AvantStageがラインアップするパッケージのうちmcframeとAsprovaを採用し、さらに食品工場向け製造管理パッケージ「QITEC」や設備管理パッケージ「AMISYS」も導入して全体を構成している。mcframeは販売管理や会計、損益管理のERPとも連携している。
キヤノンITSでは今回の事例を通じて、製造業務モデルの見直しとスマートファクトリー実現に向けたITコンサルティング、AvantStageの適用による製造業務のデジタル化、データ活用による可視化/自動化/効率化といった、食品製造業の現場に対する価値が提案できるとしている。さらに今後は、生産設備のIoTデータ収集によるビッグデータ活用、AI/機械学習技術の適用による生産システムの高度化/自動化に向けた提案にも取り組んでいく。
キヤノンITSおよびB-EN-Gでは、今回の導入事例に基づき食品製造業へのAvantStage/mcframe提案を強化していく方針。販売ターゲットとしては、売上規模が300億円以上で、既存のレガシーシステムやERPパッケージからのリプレースを考えている食品製造業だと、森永氏は説明した。また、食品製造業と並んでキヤノンITSが多くの構築実績を持ち、同様の課題を抱える化学製造業にも横展開していく。
キヤノンITS 執行役員の莖田芳彦氏は、SIビジネスに強みを持つ同社として、AvantStageは「これから注力していく事業のひとつ」だと述べた。AvantStage関連の売上高は現在(今年度)およそ26億円規模だが、発表の中で「2021年までに50億円を目指す」としている。