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Cybozu Days 2018が福岡を皮切りにスタート、kintone hive fukuoka vol.3開催

楽しいは正義!kintoneとノンコーディング開発の限界を楽しむ人々、福岡に集う

2018年09月11日 10時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 サイボウズは2018年9月~12月にかけて、年次イベント「Cybozu Days 2018」を福岡・松山・東京・大阪の4都市で開催する。9月6日に、皮切りとなる「Cybozu Days 2018 福岡会場」が福岡市の福岡国際会議場で行われた。同社は2017年12月に福岡オフィスをオープンし、今回は福岡で初めてのCybozu Daysとなる。

 2018年のCybozu Daysのテーマは「楽しいは正義」。福岡会場の基調講演に登壇した同社 代表取締役社長の青野慶久氏は、「働き方改革、楽しいですか? 生産性だけを重視した“働かせ改革”になっていませんか?」と呼びかけた。今年のCybozu Daysでは、働く人の幸福度と楽しさを最大化しつつ、企業の生産性を高める真の働き方改革の在り方について、ITや組織マネジメントなど様々な角度から議論していく。

「働き方改革、楽しいですか?」とサイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏

基調講演ではkintoneプロダクトマネージャーの伊佐政隆氏が「kintoneのユーザー企業数が9500社を突破した」ことをアナウンス。1日に新規作成されるkintoneアプリ数は1600以上だという

 そして、もう1つの「楽しいは正義」、kintoneを楽しむユーザーイベント「kintone hive」が、「Cybozu Days 2018 福岡会場」の中の特別セッション「kintone hive fukuoka vol.3」として開催された。普段はkintoneユーザー限定参加のkintone hiveだが、今回はCybozu Days福岡発開催を記念し、Cybozu Daysに足を運んだすべての来場者に開放。3社(京王電鉄、宮近整形外科医院、カクイックス)のユーザー事例の紹介と、名物LT大会「kintone hack」が行われた。

アプリを増やすほどコスト効果があるkintoneを武器に業務改革:京王電鉄

 京王電鉄は、新宿から調布を経由して八王子を結ぶ京王線、渋谷~吉祥寺を結ぶ京王井の頭線を運営する、東京都民にはなじみ深い鉄道会社だ。京王グループとして、京王バスや京王百貨店、京王不動産などの事業を展開している。「福岡とはゆかりがないように思われますが、九州のバスネットワークポータル『@バスで』の予約部分である『ハイウェイバスドットコム』は京王グループが運営しています」と京王電鉄 経営統括本部IT管理部長の虻川勝彦氏。

京王電鉄 経営統括本部IT管理部長の虻川勝彦氏

 虻川氏は、京王バスに出向していた2014年、同社グループとして初めて、京王バスにkintoneを導入した。「当時、京王バスの業務は、手作業や複雑なExcelも多数あり、データ連携が考慮されていないシステムも多くありました。そのような業務のシステム化の予算もありませんでした」(虻川氏)。このままでは更なる生産性の低下で運用破綻が起こる――。そんな危機感を抱いていた虻川氏は、ある日、電車のつり広告でkintoneに出会う。『情シスだからできる革新』のキャッチコピーに心動かされたという。

 そんな折、警察から「バス車内での遺失物の情報をデータでほしい」との要望を受け、遺失物管理システムの構築に予算がついた。虻川氏はこのチャンスを見逃さず、遺失物管理システムの予算を原資にkintoneを導入したいと社内に提言。2週間の短期間で、遺失物管理の業務プロセスの見直し案、新しい業務プロセスを実装したkintoneアプリを作り上げ、実際に動くシステムを見せながらプレゼンテーションした。さらに、kintoneを全社に展開することのコスト効果をアピール。「kintoneは1ユーザーあたり月額1500円。遺失物管理アプリだけを利用するとコストは1アプリ1500円だが、全社的に使って100アプリで利用すれば1アプリあたりなんと15円!」(虻川氏)。結果、社内承認を得ることに成功し、ここからkintoneを使った京王グループの業務改革がスタートした。

 これまで、京王バスの遺失物管理は、(1)バス車内での遺失物を紙に記載、(2)紙からExcelへ転機、(3)紙とExcelの突合せチェック、(4)まとめた情報を掲載へ提出、というプロセスで運用されていた。これが、2015年4月にkintoneの遺失物管理アプリを導入した後は、バス車内でアプリに遺失物情報を入力→アプリ上で集計・出力したレポートを警察に提出というプロセスになり、作業時コストが大幅に削減された。アプリで遺失物を登録する際は、簡単なキーワードを入力するだけで警察用の階層化されたコードを自動抽出する仕組みになっており、入力ミスも減る。

京王バスの遺失物管理アプリ

 遺失物管理システムの次に虻川氏が手掛けたのは、「添乗評価アプリ」だ。京王バスでは、定期的に覆面の評価者をバスに乗車させて、各運転手の運転品質を評価する「添乗評価」を行っている。従来、この評価データは紙でとりまとめていたため、評価をもとに運転手を指導するまでに2週間の時間を要していたという。kintoneの「添乗評価アプリ」を使うことで、添乗中のスタッフがスマートフォンからリアルタイムに評価データを営業所に送ることが可能になった。「運転に改善すべき点があったとして、運転手に2週間前の運転について指導しても効果が薄い。アプリにしたことで、最短ではバスが営業所に戻ってきたタイミングで、その運転に速やかに指導できる仕組みができました」(虻川氏)。

添乗評価アプリで運転手の指導効果が向上

 「指導履歴アプリ」というのもkintoneで作った。重大事故防止のために、バス運転手に義務付けられる指導項目は増えており、その指導履歴は営業所・本社で把握できるように管理する必要がある。現場で簡単に改修できるkintoneアプリであれば、指導項目が増えてもアプリに入力欄を追加するだけだ。

「指導履歴アプリ」は年々増加する指導項目の追加に対応

 現在、京王バスから京王電鉄に戻った虻川氏は、グループ横断で使うシステムへのkintone活用を進めている。一例では、グループ各社のセキュリティ担当にkintoneアカウントを配布し、kintoneでグループ全体のサイバーセキュリティ情報を統合するポータルを構築した。「元々は、グループのセキュリティポータルに世界シェア1位のaPaaSを利用していましたが、ライセンスコストが高価で全社導入できていませんでした。kintoneに置き換えることで、低コストに全社導入が可能になり、グループガバナンスの強化につながりました」(虻川氏)。

 最後に虻川氏は、スクラッチ開発とkintone開発を比較し、「kintoneで100点満点のシステムを狙うのは難しい。しかし、スピードとコストでは負けない。kintoneでできない機能も、やり方を変えるなど工夫して課題を解決していくことを楽しみましょう」と述べた。

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