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夏休みの自由研究「水耕栽培」でチンゲンサイを植えてみた

2018年08月25日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 今年の夏のように、気候変動の様子をわかりやすく体感してしまうと、映画「インターステラー」のような近未来の光景もまた、容易に想像できてしまう。進む砂漠化、枯れてしまう植物。人類の住めなくなった地球に替わる星は本当に存在するのか。

 と、そのような観点を導入すると、夏の自由研究も俄然盛り上がる。土から切り離された、最小限の水とミネラルで植物を育てる技術は、人類の絶滅を少しでも先送りにできるはずだ。そして、人類が地球外へ脱出した後にこそ、この技術は役に立つ。スペースコロニーで食料を生産し続けなければならないのだから。

 実際、NASAも「Aeroponics」という新手の水耕栽培の研究をしている。空中にぶら下がった植物の根に、直接液体肥料を噴霧するというもので、通常の水耕栽培より効率良く植物を育てられるという。海外ではホビーとしても流行っている。

 素人に宇宙船の製造は無理だが、植物を育てるくらいならできるのだ。やあ、実に有意義な研究だなあ。

 と、目前に迫りつつある危機をダシにした浪費(そう、これは気休めの浪費だ)の申し開きはさておき、うちの水耕栽培キット「ie・na」では一体なにが育つのだろう? 「室内」「真夏」「北海道」という条件に当てはまる生育データが乏しく、経験値ゼロの私は悩むばかりだ。

真夏は種をまく時期じゃなかった?

 手がかりとして、前回は室内窓際の照度と気温を測った。ie・naを設置する窓際の平均照度(グラフで緑の太線)は、最高で5klx程度。雨ばかり続いた天候不順のせいで日照量も少ないのだが、これ以降、天候が回復するという保証もないので、照度についてはこれを参考にするしかない。

 ここで高校の生物で習ったらしい「光補償点」と「光飽和点」を思い出そう(私は忘れていた)。つまるところフィルムやイメージセンサのラチチュードみたいに、植物によって有効な照度のレンジは決まっているのだ。

 光補償点は光合成による養分の生産量と、呼吸による消費量が等しくなる照度。これを下回ると支出超過になって、そのうち植物は枯れてしまう。が、上回ると、光飽和点で頭打ちになるまで、養分の生産は加速し続ける。だから植物はどんどん成長する。

 例えば夏野菜の代表であるトマトは、光補償点3.0klxで、光飽和点70klx。一方、葉菜の代表であるレタスの光補償点は1.5~2.0klxで、光飽和点が25klx。レタスはトマトに比べて受容する照度のレンジが低い。果実を実らせるには多くの光のエネルギーが必要だが、葉が広い葉菜は低い照度でも育つのだ。

 しかし、うちの場合、レタスの光補償点を上回るのは4時間程度しかない。しかも、レタスを育てるにしては、まだ気温が高すぎる。レタスの生育適温は15~20度だ。

 種の蒔きどきも難しい。時期については種苗メーカーのサイトで調べられるが、果菜にしても葉菜にしても、夏真っ盛りの8月が最高という野菜は珍しい。ie・na付属品(?)にしても、プチトマトの「ネネ」は春蒔き、「岡山サラダ菜」は秋蒔きである。なぜ私は夏の自由研究として、屋内の水耕栽培を選んでしまったのか。

 ただ、蒔きどきについては、どれも露地栽培の場合だ。北海道で室内栽培という条件では、違う基準になるだろう。寒冷地として低く見積もっていいのか、あるいは室内の気温に限れば、本州の外気温と変わらないのだから、温暖地と考えてもいいのか。そのへん、一体どうなんだ。

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