フェイスブックの人工知能(AI)研究者が、ニューヨーク大学と共同で、 核磁気共鳴画像法(MRI)を最大10倍高速化させるプロジェクトに取り組んでいる。
「ファストMRI(fastMRI)」と呼ばれるこのプロジェクトは、低解像度MRIスキャンの欠落部を補完し、効率的に高解像度MRIスキャンへと転換できるアルゴリズムを開発することを目指している。成功すればプロジェクトは貴重な技術を生む可能性がある。というのも現在、良質なMRIスキャン画像を作成するには1時間以上かかるからだ。特に子どもや、具合が悪い患者にとって、1時間以上もMRI装置の中で動かずにいるのは大変だ。プロジェクトの目標は、この時間を数分に短縮することである。
MRIスキャンを高速化するのには、生成モデルとして知られる方法を使いる。匿名化されたデータを用いて、MRIスキャンの欠落部分や不鮮明な部分を補完できるようにニューラル・ネットワークを訓練する。 プロジェクトに携わるフェイスブックのラリー・ジトニック研究主任は、補正された画像において、重要な点が一切抜け落ちていないことを確実にするのが重要な課題だと話す。
だが、なぜフェイスブックがMRIプロジェクトなのだろうか。安心してほしい。フェイスブックは何も、ユーザーに休暇の写真と一緒にMRI画像を投稿させようとしているわけではない。あくまでも、重要な機械学習手法に進歩をもたらすこと、そして意義のあることに取り組みたいと熱望するAI研究者を惹きつけることをフェイスブックは期待しているのだ。
実際、AIは医学や保健医療に大きな影響を与えると見られているが、重大な問題がいくつか残っている。患者データの確実な保護や偏見的アルゴリズムの除去、アルゴリズムの推論プロセスを説明する方法の発見が重要になるだろう。