カリフォルニアの過去最悪の山火事を含む100件以上の大規模な山火事が、米国西部で猛威を振るっている。猛烈な熱波がアフリカから北極圏にいたる世界中の最高気温記録を塗り替え、激しい嵐が立て続けに米国東海岸を襲っている。
気候変動が、より暑く乾燥した気候状態を作り出し、寒帯ジェット気流の流れを変えることで、こうした現象の多くを発生させ、悪化させていることはほぼ間違いない。そして科学者は、これらはほんの序章に過ぎないと繰り返し警告している。
今週の『ネイチャー・コミュニケーションズ』誌に掲載された論文は、世界が自然変動によって温暖期に入ろうとしている可能性があり、温暖期に入ることで人為的影響による気候変動が悪化する可能性を見い出している。地球が温暖期に入ることで、2018年から2022年の間に特に海面温度の上昇などの「極端な温暖化現象」が発生する確率が上がる恐れがある。
自然変動は、比較的短期間に気温を上下させながら、今後数十年間続く見込みだ。長期的に見ると、将来は今よりもずっと暑くなっていることが気候研究によって一貫して示されている。実際、8月初めに『米国科学アカデミー紀要』に寄せられた論文は、「ホットハウス・アース(温室と化した地球)」へのシナリオという「重大なリスク」を警告する。気温が特定のしきい値を超えると、より高い気温へとさらに引き上げる「自己強化フィードバック」を活性化させる可能性があるという内容だ。たとえば、膨大な量の温室効果ガスを含有する永久凍土層の融解がこれに該当する。人間が二酸化炭素排出量の削減に成功したとしても、「自己強化フィードバック」によって、気候を安定させることは一層困難になるかもしれない。
異常気象の発生が頻発する場合、非常準備金や保険準備金、その他の災害対策用財源は早急にひっ迫することになるだろう(「気温上昇「1.5℃目標」で20兆ドルの節約、スタンフォード大が試算」参照)。
そのうえ、異常気象の連続によってすでに多くの人命が失われている。これからも犠牲者数は増える一方だろう。『ネイチャー・クライメート・チェンジ』誌に昨年、掲載されたある論文は、世界が大幅に二酸化炭素排出量を削減しない限り、2100年までに世界人口の75%近くが生命を危うくする気温や湿度に、少なくとも年間20日間はさらされると予想している。
世界が危険な「ニュー・ノーマル」に入ったと警告する人々がいる一方で、現状はもっと深刻だと主張する声もある。
ペンシルベニア州立大学地球システム科学センター(Earth System Science Center)のマイケル・マン所長は、米公共放送サービス(PBS)に次のように語っている。「ニュー・ノーマルというと、新しい状況に到達し、そこに留まるように聞こえます。ですが、化石燃料を燃やし続け、大気に炭素汚染を排出し続けた場合、地球の表面を暖め続けることになります。その結果、今よりもさらに大規模な干ばつや熱波、猛烈な暴風雨、洪水、山火事に見舞われることになるでしょう」。