米国のマイク・ペンス副大統領が、「宇宙軍」と宇宙の安全保障の予算として、今後5年間で80億ドルを計上するよう議会に要請した。
ジェームズ・マティス国防長官とペンス副大統領は8月9日、国防省の宇宙軍創設計画の発表に先立ち、ペンタゴン(米国防総省の本庁)で演説した。ドナルド・トランプ大統領の2カ月前の発言を受ける恰好で、ペンス副副大統領は宇宙軍を米軍の「他の5つの軍(陸・海・空軍、海兵隊、沿岸警備隊)から独立させた対等の組織とする」と宣言した。
宇宙軍創設の理由として、ペンス副大統領は米国の衛星に対して潜在的脅威となる中国やロシアを名指しして、対抗措置としての防衛体制の構築は認められるとした。そして、「宇宙軍創設というアイデアを実現する時が来た」と述べた。
ペンス副大統領は、宇宙軍創設を実行に移すにあたり、主となる4つの指針を示した。
・「米国宇宙司令部(US Space Command)」と呼ばれる統括管理組織の創設(2018年末までに実現)。宇宙空間において米国の利益を守るためのリソースを擁する
・「宇宙作戦部隊(Space Operations Force)」と呼ばれる戦闘機の精鋭部隊の結成。米軍全体から人材を募り、「危機の際に宇宙の専門スキルを提供する」
・「宇宙開発庁(Space Development Agency) 」の設立。新たな宇宙防衛技術をすみやかに開発する
・説明責任の明確な線引きと米軍の新たな部門の創設(2020年までに実現)。宇宙軍の実現に向け、新設の宇宙担当国防次官補を民間から登用する
人類が宇宙で戦闘している姿はすぐに思い浮かべることができるだろう。現在のところ提案されているのは、地球上から米国の衛星を守る部隊だ。しかし最終的には、宇宙軍創設の決定は議会の仕事だ。議会が米軍の新部門創設を承認し、予算に署名するかどうかを決めなければならない。