オクラホマ大学の異常気象の専門家が、米国科学技術政策局(OSTP)の局長に就任する準備が整ったようだ。ただし、上院の承認が下りればの話だ。
ワシントンポストによると、トランプ大統領がOSTPの最高位職にケルビン・ドログマイヤーを指名する意向だという。OSTP局長は、人工知能(AI)から医学研究、気候変動に至る幅広い問題について大統領に助言する役職だが、AIなどの分野で劇的な進歩が起きているこの時代に1年半以上も空席だった。空白期間中、OSTPのトップはトランプ政権で科学・技術政策を担当するマイケル・クラチオス大統領副補佐官が務めている。
ドログマイヤーは、激しい雷雨や竜巻の動力学・予測可能性に焦点を当てた研究活動で高い実績を誇っている。同氏のこのような専門知識が、トランプ大統領がこれ以上気候政策に関して失策を起さないように働くか否かはこれから判明するだろう。それより、OSTPの新局長になるであろう人物は、少なくともホワイトハウスでの意思決定の際にしばし発生する、乱気流に入る準備を万全にしておく必要がある。
ドログマイヤーは研究の一環として、各地域の雷雨やその他の異常気象発生を予測するために、ドップラー・レーダーやその他のデータを統合した世界初の大気コンピューター・モデルの開発を主導した。また、オクラホマ大学に2つのスーパーコンピューティング・センターを設立し、米国のサイバー・インフラを調査する団体と共同研究を実施している。それゆえ、ドロゲマイヤーは量子コンピューティングやサイバー・セキュリティなどの分野で、米国が直面している政策上の問題に迅速に対処できるはずだ。
ドロゲマイヤーは高度な科学政策立案にも精通しており、2人の米国前大統領の下、 米科学委員会(National Science Board)のメンバーを務めていた。2017年には、オクラホマ州知事がドロゲマイヤーを州政府の科学技術秘書官に任命している。バラク・オバマの下でOSTP局長を務めていたジョン・ホルドレンは、ドログマイヤーの指名の可能性について「堅実な選択」だと称する。オバマ時代よりもはるかに職員の数が減ったOSTPが、ドログマイヤーによって強化されることを期待するものもいる。だが最初に、同氏は就任までに大きなハードルを乗り越えねばならない。
ドログマイヤーの指名は上院議員の承認を得ねばならない。民主党員が、気候問題に対する大統領の姿勢や、防衛関連以外の研究費を削減するという大統領の脅しに対抗する武器として、ドログマイヤーの指名承認を利用する可能性がある。ドロゲマイヤーが公に連邦政府からの基礎研究への出資削減に反対している。ドログマイヤーの任命が政治的内紛に対するスケープゴートになるようなら残念だ。