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世界最大のベーシック・インカム実験、政権交代で中止へ

2018年08月06日 06時27分更新

文● Erin Winick

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カナダ・オンタリオ州の自由党政権が昨年、試験的に導入したベーシック・インカム(最低所得保障制度)のプログラムは3年間継続する予定だった。

オンタリオ州では昨年の10月から、約4000人が毎月の給付金を受け取り始めた。給付金を受ける人々の収入が、少なくとも貧困線の75%に届くようにするためだ。すなわち、単身者であれば年間最低1万7000カナダドル(約1万3000米ドルに相当)を、夫婦2人世帯であれば年間最低 2万4000カナダドルを支給する。

2018年6月のオンタリオ州議会選挙で州政権を新たに握った保守派の政府は先週、ベーシック・インカムのプログラムを継続するとしていた選挙公約を破り、プログラムを中止すると発表した。社会サービスを担当するリサ・マクレオド大臣は、プロジェクトに多額の費用がかかることを中止の理由として挙げた。同プロジェクトには1億5000万カナダドルの費用がかかる。大臣は「ベーシック・インカムがオンタリオ州の家庭にとっての答えでないことは明確です」と述べた。だが、この発言を裏付けるようなデータは提示していない。MITテクノロジーレビューは今年、毎月の手当を受け取っている人々に取材し、毎月の給付金が人生をどう変えたのかを聞いた。

オンタリオ州政府はまだ、プログラムを終了する正確な時期や方法について示していない。信頼感に欠ける声明文の中では、「倫理的に」終了するつもりだと述べている。プログラム参加者の多くが、今後3年間の資金計画が台無しになったと知り、ショックを受け、フラストレーションを感じている様子だ。とてもおかしな話だ。

オンタリオ州の実験は国内外から注目を集めていた。特にシリコンバレーでは、機械による大規模な仕事の自動化に対し、社会がどう対策すべきかの答えとして、多くの人々がベーシック・インカムを擁護してきた。しかし、ベーシック・インカムのプログラムが良い考えであることを示す現実世界のデータが不足している。テック業界の人々にとってみれば、答えを出すまで待たねばならない時間が長くなってしまったようだ。

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