アップルの成功を見れば、中国との貿易摩擦にもかかわらず、グーグルやフェイスブック、その他の企業がなぜ必死に中国市場参入の道を探るかは明白だ。
8月2日、アップルの時価総額は、米国の上場企業として初めて1兆ドルを超えた。
さかのぼること1980年代、アップルはパーソナル・コンピューティングを開拓したが、1990年代には破産寸前となった。亡くなったアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズは、1985年にアップルを解雇され、1997年に復帰。その後、1998年にiMac(アイマック)、2001年にiPod(アイポッド)、2007年にアイフォーン(iPhone)を発売するなど、アップルを成功への道に引き戻した。
これらの製品の中でも特にiPhoneは、パーソナル・テクノロジーとコンピューティングを大きく変えた。中国のメーカーとの提携がなければ、成し遂げられなかった成果だろう。というのも、中国メーカーと提携したおかげで、アップルは厳重な製品管理を維持しながら数十億台のiPhoneを製造し、消費者に手頃な価格で提供できたからだ。同時に、中国はアップルにとって巨大な市場でもあり、売上高の約5分の1を占めている。さらに、中国にはアップルのiOS向けアプリの開発者が200万人近くもいるのだ。
米国の他の大手テック企業の多くも、厳しい検閲にさらされながらも、中国市場に参入しているか、あるいは参入を渇望している。たとえば、グーグルは中国では利用が禁じられているが、中国に従業員を置いている(そして、検閲機能付きの検索エンジンを中国で提供しようと検討中だ)。フェイスブックも、中国に子会社を設立すると報じられた(ただし、後日、中国政府により承認が撤回されている)。
アップルにとっての潜在的な課題は何か。現在の中国との貿易戦争が激化し、米国が中国の特定の輸出品に追加関税を課した場合、アップルは米国内においてアイフォーンの販売価格の値上げといった問題に直面する可能性がある。中国の顧客に対する販売に打撃となるかもしれない。