米HP社は、シンガポールにある産業用プリンターの大規模施設「Center of Excellence」(以下CoE)を、アジア太平洋地域の報道関係者に公開した。同時に、7月26日に日本で発表予定の「HP Latex R2000」も先行公開した。
同製品は、HPが発表した「Rigid Technology」を活用したデジタル印刷機だ。HP Latex オーバーコートを使用。耐久性と柔軟性に優れた水性インキを使うことで、光沢と感触を保った鮮明な印刷を実現できる。様々な素材への印刷が可能であり、サイネージやウィンドウグラフィックス、車のラッピング用途なども想定している。
HP Latex R2000は、東京ビッグサイトで2018年7月26日から開催される「IGAS 2018」に合わせて国内発表する。同社ブースへの展示も予定されているという。
全世界から3万人以上が訪れた、プリント事業の重要施設
CoEは、シンガポールの中心地から南西に向かって、車で約30分に位置する工業団地「ジュロン インダストリアル エステート」のなかにある。HPのデジタル印刷機の導入を検討している企業、ソリューションを提案するパートナー、すでに導入済の企業などが利用する施設で、HPのデジタル印刷機の各種検証や、印刷データ生成、プリプレスから後加工までのエンド・トゥ・エンドのアプリケーションをテストできる。
日本を含むアジア太平洋地域の印刷会社や、その顧客であるブランドオーナーや代理店、プリントバイヤー、ソリューションパートナーや販売パートナーなどを対象に公開。2014年9月の開設以来、累計3万1000人が来場したという。HPのデジタル印刷機の広がりにおいて、重要な役割を果たしている。
道を挟んで隣には、セイコーエプソンの工場があり、ウオッチケース、プレス加工部品、自動旋盤部品などを製造、ほかにも地元ビールメーカーのタイガービールや、コカ・コーラの生産拠点もこのエリアに集まっている。
HPは2014年9月に、建物の3階フロアにCoEを開設。同じ建物の1階では、HP Indigo向けインクの生産も行っている。2万1000m2の敷地に、HPのデジタル商業印刷機を一堂に展示。すべてのプリンタを稼働させて、テストできる。
米HPで、アジア太平洋地域のグラフィックソリューションビジネスを担当するマイケル・ボイル副社長は以下のように語る。
「3つのフットボートルフィールドが収まる面積に、最新のデジタル印刷技術を用いた製品や、印刷サンプルを展示。壁面にもHPのデジタル印刷技術を活用したものを使用している。多くの印刷技術者がここを訪れ、HPの専門家とともに、ソリューションの最適化を図ったり、最新の印刷手法を学んだりできる場になっている」
2017年9月からは、同施設内に「ラーニングアカデミー」を開設。印刷技術者が、デジタル印刷に関する知見やノウハウを得ることができる。
ボイル副社長は、「産業分野におけるデジタル印刷は着実に広がっており、建築、出版、サイネージ、ラベル、パッケージ、そしてテキスタイル分野にも拡大している。すでに35.5%がデジタル印刷機になっている」とする。