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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第201回

14億ドルの罰金、幹部交代などを条件にZTEが業務再開へ

2018年06月21日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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 米政府が米国企業に対して、ZTE向けの輸出を禁じてから1ヵ月半、ZTEが業務再開できる見通しだ。この間、ZTEのブランドイメージに与えた影響は大きく、すぐに回復できるかはわからない。余波は米国外にも及ぶかもしれず、米国内では同じく中国企業のHuawei(ファーウェイ)を敵視する向きもあるようだ。

※タイトルの数字が間違っておりました。訂正してお詫びいたします(6月21日12時)

米国企業の部品が入った製品を
輸出禁止国に輸出していたZTE

 これは個人的な経験だが、数年前のMWCにて、ZTEの取材をすることになっていた。日本の担当者からは、日時(場所はZTEのブース)、取材相手の名前を受け取っており、ZTEのブースに走った。ところが、報道受付の女性には連絡が入っていなかった様子。メールをプリントアウトしたもの(日本語だが)を見せながら、「この日時にこの人と話すことになっていたんだけど……」と伝えても、その人物は今ここにいない、と軽くあしらわれる。代案を期待していたが、その女性は悪びれるふうでもない。

 こちらがいつなら会えるのかと聞くと、メールと電話番号を残してくれれば連絡するということに。結局連絡はなかった。忙しいイベントなので、その女性も忘れていたのかもしれないし、私もプッシュしなかった。

 約束がどのぐらいの重さなのか(私がもう少し重視されている人物なら対応は違っただろうが)とか、約束が違った時の対応とか、国や文化の違いはある。中国に限らず、信号を守るか守らないかは国によって違うし、同じ日本国内でも待ち方(福岡出身の私には、東京のバス停で整然と列ができているのは新鮮だった)が違う。これらは、どのくらいなら約束を破って良いのか(そもそも約束なのかどうか)とかグレーゾーンがどこまでなのかなどの感覚の違いだと思う。

 ZTEが米国政府による手厳しい仕打ちを受けたニュースを見ながら、冒頭の自分の経験を思い出した。以前のコラムに書いたように、ZTEは米国が経済制裁を課すイランや北朝鮮などの国に対し、米国技術の入った自社製品を輸出していた。米商務省の産業安全保障局(BIS)はZTEに対して米国企業による輸出を禁じる否認命令を出した。ほどなくZTEは事業活動ができなくなったと根をあげた。

 ZTEはひょっとして、それぐらい守らなくてもいいという感覚だったのかもしれない(といっても、過去にも同じ内容で罰金命令を受けていたので、言い訳は無しかもしれないが)。

罰金総額14億ドル、過去最大のペナルティーに

 前置きが長くなったが、その後の続報が出ている。

 トランプ大統領は5月末、13億ドルの罰金支払い、経営陣の入れ替え、高レベルのセキュリティ保証を条件にZTEは業務を再開できるとツイートした。

 6月14日、BISはZTEとの合意を発表した。それによると、10億ドルの罰金支払い、取引禁止顧客リストから除名する前に支払う4億ドルの預託金と合計14億ドルの罰金を命じたほか、米国側が選ぶコンプライアンスチームを向こう10年間設置すること、取締役会と経営陣を入れ替えることなども盛り込んだ。

 違反した場合、10年の否認命令をだすことができる。なお、これらはBISが課したペナルティーとしては過去最大とのことだ。もちろん、否認命令から6週間の間の損失を入れると、さらに大きな規模になることは間違いない。

 ZTEの2017年通年の売上高は前年同期比7.5%増の1088億2000万人民元(約169億1000万ドル)、罰金総額の14億ドルは8%程度となる。ZTEは中国銀行、国家開発銀行などに貸付限度の拡大を依頼するようだ。

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