Astell&Kernの新プレーヤー「A&norma SR15」「A&futura SE100」の新製品発表会が5月31日に開催された。
いずれもAstell&Kernのプレーヤーとしては第4世代に位置づけられる。Astell&Kernブランドの製品は2017年5月発表の「A&ultima SP1000」以降、その名称に従来の「型番」に加えて「プロダクトライン」を併記している。「A&○○」の部分がそれだ。
SR15とSE100の発表で、“フラッグシップ”ラインのA&ultima、“プレミアム”ラインのA&futura、“スタンダード”ラインのA&normaの3つが揃った。なおこれとは別立てで“カジュアル”ラインの「AK70 MK2」や“パフォーマンス”ラインの「KANN」という機種がある。やや複雑だが、AK70 MK2に関しては将来的にはスタンダードラインへの統合が計画されているとのこと。KANNに関しての明確な発表はないが、他モデルにはない仕様面での特徴もあり、展開が気になるところだ(非公式だが第2世代機の開発に意欲的な面もあるようだ)。
プロダクトラインの導入からは、上位・下位とは異なる軸で、ユーザーの利用スタイルを示そうとする意図が垣間見える。第2世代、第3世代のAKシリーズでは、まず最初にフラッグシップ機を出し、それを中心に据えながら、DACチップの数などスペックを調整したり、筐体素材などに細かな違いを付けたバリエーション展開だった。一方、第4世代では、SP1000がAKM(旭化成エレクトロニクス)、SE100がESS Technology、SR15がCirrus LogicとDACチップのメーカーから変えている。結果として、サイズや外観はもちろん、音質傾向にもはっきりとした特色が打ち出されるようになった。
空間表現に優れ音が緻密なSE100
SE100は「根本的に異なるサウンド」を標榜している。8ch出力が可能なESSの「ES9038PRO」をポータブルプレーヤーとして初めて搭載。シングルDACだが、4chぶんを左右それぞれに振り分けて高精度なD/A変換をする方法を取っている。DSD11.2MHzやPCM384kHz/32bitのネイティブ再生にも対応。バランス出力時で4.1Vrms(無負荷時)とアンプ部も高出力、S/N比も128dBとAK380より向上している。VCXOを使用したクロック部は800フェムト秒と低ジッター。型番は非公開だが、8コアのCPUを搭載するため、操作のレスポンスやデータ転送なども高速だという。GUIはSP1000のコンセプトを踏襲している。
多機能な機種であり、Wi-Fiを経由してNASなどに保存した音源データを再生できる「AK Connect」や「USB-DAC機能」「USB-AUDIO出力」、aptX HD(48kHz/24bit)対応のBluetooth接続機能などを装備する。
PCなどの外部機器や充電用にはUSB 3.0(Type-C)を使用。9V/1.67A出力に対応した市販のUSB充電器を用意すれば、約2時間の充電で11時間の再生ができるという。液晶ディスプレーサイズは5インチ(720×1280ドット)。上部から見ると平行四辺形になっている独特な形状で、右サイドのボリューム調整用ホイールは多面カットの中心に配置している。本体サイズは幅75.8×奥行き15.3㎜×高さ132㎜で、重量は約241g。国内代理店アユートの直販サイト「アキハバラ e市場」の直販価格は21万9980円だ。
元気でメリハリ感あるSR15
SR15は「Hi-Fiのスタンダードを再定義する」がコンセプト。シーラス・ロジックのMasterHIFIチップセットを導入、「CS43198」を左右独立で2基搭載する。DSD2.8MHz、PCM192kHz/24bitのネイティブ再生に対応する。
CPUは4コアで、ディスプレーの縦横比は異なるが、SP1000を踏襲したGUIになっている。なお、PCM変換にはなるが、PCM384kHz/24bitやDSD5.6MHzの再生にも対応する。「AK Connect」「USB-AUDIO出力」「aptX HD」などに対応。USB-AUDIO出力時はDSD5.6MHz、384kHz/32bitのデータをそのまま出力できる。クロックジッターは45ps、バランス駆動時のアンプ出力は4.0rvms(無負荷時)、S/N比は122dB。
3.31型(480×800ドット)のディスプレーを少し傾けて配置する独特なデザインで、左右どちらの手で持っても操作しやすいよう配慮している。USB端子はMicro-USBタイプ。本体サイズは幅57.5×奥行き16.1㎜×高さ99.7㎜で、重量は約154g。直販価格は9万9980円だ。
いずれも国内での販売開始時期は明示されていないが、SE100が先行し6月中旬ごろを予定。SR15は7月下旬ごろを目標としている。ケースは今回から別売(SE100用が3種で1万3980円、SR15用は未定)となるが、本体と同時発売できるよう調整中だという。