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春のヘッドフォン祭 2018 第13回

KSE-1200やRMCE-USBについて聞く

なぜシュアは、静電型/USB Type-C接続にいま取り組んだのか?

2018年05月04日 12時00分更新

文● 山本 敦 編集●ASCII

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アナログ接続専用に割り切った理由とは

 では早速、新製品KSE1200が企画・開発された背景からエングストローム氏に聞いてみよう。

エングストローム氏:シュアのフラグシップモデルであるイヤフォン「KSE1500」を発売後、そのサウンドに圧倒されたという反響を数多くいただきました。KSE1500はデジタル入力を使ってアンプに内蔵されているハイレゾ対応のUSB-DACを使うこともできる静電型イヤフォンシステムですが、最大96kHz/24bitのリニアPCM入力までにしか対応していないため、それ以上のスペックを持つDACや、自分の好みの音のDACを搭載するハイレゾプレーヤー、ヘッドホンアンプをアナログ入力を使って聴いているというユーザーの声も届いていました。

プロダクトマネジメント・シニアカテゴリーディレクター マット・エングストローム氏

KSE1200ではシンプルにアナログ入力を1系統だけ搭載して、様々なデバイスをシュアのフラグシップモデルである静電型イヤフォンで楽しんでもらえる環境を提供したいという思いから開発した製品です。

サリバン氏:外部オーディオ機器とシンプルに接続できること以外にも、KSE1200ならではといえる魅力が3つあります。ひとつは小さくて軽いこと。ポータビリティが大きく向上しています。もうひとつはバッテリーの連続駆動が約12時間になって、KSE1500をアナログ接続で使った場合に比べても約2時間ほど伸びています。KSE1500に搭載されていた有機ELディスプレイと、これに関わるデジタル回路を省略できたことが大きな要因です。

天面に3.5mmアナログオーディオ入力を搭載。ボリュームもアナログ方式になる

そして3つめは、価格がさらにお求めやすくなったことです。シュアが目指してきたフラグシップの音を、より多くの方に楽しんでもらえるようにプライスダウンを実現することは、私たちにとっても大きなチャレンジでした。

ーーKSE1200のデザインは上位モデルの質感をそのまま継承しています。今回もプロダクトデザインはシュア社内の専任チームが手がけたものでしょうか。

サリバン氏:いま様々なブランドから良質なオーディオ製品が発売されています。ポータブルオーディオもファンの皆様から、機能・性能だけでなく、デザインも含めた総合力を厳しくご評価いただく時代です。シュアの場合、プロダクトデザインは小手先で見た目に華美なものに仕上げることにではなく、ユーザーが心地よく感じられる操作性も含めた全体の完成度を練り上げることに時間をかけています。

エングストローム氏:私たちはよく言われる「スタイリッシュさ」だけを追求していません。むしろその製品が発売されてから10年後も色あせない「タイムレス」な魅力を持つデザインであることを重視しています。そのためには耐久性を持たせることも非常に大切です。シュアでは独自に厳しい基準を設けた耐久性試験を全てのプロダクトを対象に実施してます。本体の落下試験、低温環境に晒しながらの動作検証、ケーブルの曲げ伸ばしテストなどを入念に行います。「腹を立てたお父さん」になりきって製品をわざと乱暴に床や壁にたたきつけてみたり、私たちが「アングリー・ファーザー・テスト」と呼ぶ非公式の耐久テストも時々やっています(笑)。私たちがつくった製品がユーザーの手もとに渡った後も、常時ベストパフォーマンスを発揮するためには耐久性のチェックは欠かせないと考えているからです。

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