「S2719DM」は、デルの27型ディスプレーだ。
今回は、ベゼルの狭いデザインが目を引くS2719DMの外観と使用感をまとめる。
優れた発色を実現するIPSパネル<
S2719DMのパネルはIPS方式を採用。178度の広い視野角と、優れた発色性能が魅力だ。また本機の特徴として、HDRに対応している点があげられる。一般的なパソコン用モニターとしての用途以外に、ビデオ・オンデマンド・サービスなどの対応コンテンツを視聴する環境としても利用できる。スペックの高いディスプレーなので、パソコンだけで使うよりも、マルチに使える自宅やオフィスのモニター環境として活用したいと感じる。
また、2560×1440ドットという解像度の高さも魅力だ。リフレッシュレートは60Hzと標準的なので、FPSなど激しく動くコンテンツにはどちらかというと不向きだが、高解像度のコンテンツを表示する際に真価を発揮するモニターだ。RPGなど、グラフィックスの書き込みが細かく、動きはそれほど激しくないゲームなら、納得のいくクオリティーでプレーできるのではないだろうか。
洗練されたデザイン、見た目にこだわる人に
またスペックに現れないものの、S2719DMの最大の特徴といえるのは、その優れたデザインだろう。デル製品といえば、XPSシリーズを中心として、近年はミニマルで質感にこだわったデザインを採用しているが、本機にもその傾向は現れている。
前面から見るとベゼルはほとんどなく、表示コンテンツへの没入感は高い。このディスプレーを見てから、一般的なベゼルを設けるディスプレーを見ると、どこか野暮ったく感じてしまうほどだ。
筐体はアルミ合金製で、質感もXPSシリーズなどに通ずるつや消しでサラサラとした手触り。ディスプレー面は全面ガラスパネルのため、表から見るとアルミ部分を意識することはほとんどないが、スタンド部の高い質感は使用中も高い満足感を与えてくれる。
背面も徹底してミニマルなデザインを採用しており、確認できるのは音声出力、HDMI入力端子×2、電源ケーブルのみ。USB端子を持たないため、拡張性という意味では弱点になるが、この極めてシンプルな外観にひかれる人は多いはず。
どの角度から見ても完成度の高いデザインなので、たとえば、部屋に1台だけパソコンを設置し、ディスプレーの裏側が入ってきた人の目に留まる、社長室のようなつくりの部屋に置くと映えそうに思える。
マルチに使える高性能ディスプレー
2560×1440ドットという高い解像度、27型というサイズ間、そしてIPSパネル……と並べると、写真や映像の編集用途にオススメしたくなるが、S2719DMは特定の誰にオススメというよりも、長く使えるパソコン用モニターを探しているという人などに広く勧めたい製品だ。
27型は少し前まで大型の印象があったが、コンテンツの解像度が向上している現代では、据え置き機としては程よいサイズになると思う。
自宅のメインマシン用のディスプレーや、映像編集や写真編集用のマシンを置く小規模なオフィス、漫画家やイラストレーターなど、広いモニターでコンテンツをチェックできると便利な職業の人の事務所など、さまざまな環境にマッチするだろう。
ゲーミング向けのディスプレーなどは、機能的にはディスプレーとして最上位なモデルだが、その分置く場所は限られてしまう製品も少なくない。クセがなく、シンプルでどんな空間にも調和するデザインを採用しながら、一般用途で使うには必要十分以上の性能をそなえているS2719DMは、ありそうでなかなかなかった、「いいディスプレーがほしいが、ゲーミング向けのような性能は要らない」すべての人に向いた製品だと思う。
価格は6万3698円と、ディスプレーとしては高めの部類に入るが、HDR対応などスペック的には今後数年にわたって愛用できるポテンシャルを備えており、高コスパだといえる。高品位なモニターを探しているなら、後悔はしないはずだ。