3月27日、東京・ゲートシティ大崎にて「Kids Creator's Studio 『未来の創り手』成果報告会 - Final Presentation Day -」が開催された。「Kids Creator’s Studio」はテクノロジーとクリエイティビティーを学びながら、アイデアを実現する力を育む小学生向けのスタディプログラム。2013年から小学生のためのプログラミング教育を提供する「Tech Kids School」と、アドビが連携して実施するクリエイター教育だ。
Tech Kids Schoolを運営するCA Tech Kidsの代表取締役社長上野朝大氏は以下のようにコメントした。
「プログラ―でもなく、デザイナーでもなく、テクノロジーを表現手段として使いこなす次世代のクリエイターを育てたいという思いで、半年間約100時間のプログラムを実施しました。今回の発表会をみて、小学生でも然るべき機会とツールを手にすれば、こんなふうに成長できるのだと思って頂けると幸いです。」
アドビシステムズで教育部門を統括しているリサ・グラハム氏も来日して登壇以下のようにコメントした。
「桜が満開の時期に来日することができてほんとうに幸せです。日本は最も創造的な国とされています。自らのアイデアで開発を実現できる力を育てられるこのような革新的な取り組みをしていることは素晴らしいことです。今後も未来の子どもたちの教育の支援をできたらと思っております。」
日常生活から発想されたアプリが続々登場! 成果発表会
画像処理機能を備えた刺繍の図版製作アプリ「写刺繍」
菅野晄さんは自身が開発したアプリ「回一首」で「Unityインターハイ2017」で小学生特別賞を受賞するなどプログラミングの経験豊富な小学5年生。Kids Creator's Studioでは、誰でも簡単に刺繍ができるようなアプリを製作した。刺繍好きなおばあちゃんのために、市販の図版でなく、オリジナルでかわいい図版を作ってあげたいと思い開発を決意したという。アプリに取り込んだデータを画像処理して、刺繍糸のメーカーなどを指定すると自動判別して刺繍用の図版を作成する。デザイン面では、ボタンに刺繍らしくステッチを取り入れるなどの工夫を施した。短い作成期間にも関わらず画像処理機能を備えたアプリの完成度の高さに多くの来場者が感心していた。
ランダムで作れるメニューを提案「たべガチャ」
吉田たくとさんはカマキリが大好きな小学4年生。毎日献立選びに悩んでいるお母さんを助けたいと思いから、アプリ「たべガチャ」を開発しました。家にある食材を選択すると、ガチャガチャ風にランダムでメニューを提案してくれます。開発時は、食材の配色やデザイン、アイコンの大きさに気を付けたとのこと。今後は、栄養素の情報などを表示できるようにしたいと意欲をみせた。
お母さん同じメニューを2日続けてださないで!食事記録アプリ「イートデイリー」
一輪車で遊ぶことと、SHOWROOM配信が大好きだという斉藤みりさんは、小学校1年生からプログラミングを学んでいるという小学3年生。みりさんのお母さんがおっちょこちょいで、2日連続で同じ料理を作ることがあるとのこと。それらの体験から3食ぶんの食事を記録できるアプリ「イートデイリー」を開発したとのこと。料理を写真撮影で記録して、家族間でのレコメンド機能も搭載している。サイバーエージェントのデザイナーによるデザイン講座で学んだ食欲をそそる色として、アプリのテーマカラーをレンジにしたり、評価するときのイラストを分かりやすくデザインしたりして開発したという。
プログラミングの楽しさを伝えるために教育アプリ「プログラ」を開発
曽田柑さんは工作やロボット制作が大好きな小学4年生。プログラミングのおもしろさをしって欲しいという思いから、クイズを通してプログラミングを学ぶことができるアプリを開発。タイムアタックや設問にアニメーションを取り入れることで、楽しく学んでもらえるように工夫したという。今までは開発者になりたいと思っていいたが、Kids Creator's Studioを通してコードを打つ楽しくなってきたので、将来の夢はプログラーマーになりたいと思ったという。
赤字シートをより便利に仕上げた暗記プログラム「メモリス」
高橋温さんはスノーボードやキャンプ、ボルダリングが好きな小学5年生。iPhoneアプリを開発するワークショップに参加したことがきっかけで、本格的なアプリを作りたいと思いKids Creator's Studioに参加した。テスト勉強のときに赤シートが使いにくいと思っていたので、もっと暗記がしやすいようなアプリを作りたいと思い「メモリス」を開発した。教科書などを撮影して、その写真に赤線を引いて暗記帳が作成できる。フリック操作の説明画面とペンの細さを調整できる機能が特徴だという。アプリのデザインとプロトタイプなどが作成できるアドビのソフト「XD」を使用したことで、全体像をイメージしながらさくせいできたとのこと。今後はデザインの質をもっと高めてアプリを開発したいと意気込みを語った。
成果発表会で登壇した小学生が発表したアプリは、それぞれ趣味や生活のなかで感じた課題や解決する手段として開発したものばかりだ。Kids Creator's Studioは、この日常でひらめく小さな発想を具体的なツールに落とし込む力や、ユーザーが使いやすいデザインを作り出す力を伸ばすプログラムだと感じた。