GIGABYTEから仮想通貨マイニング向けのマザーボード「GA-B250-FinTech」が登場した。通常のPCとは異なるマイニング特有のニーズに応えるさまざまな仕様を取り入れているのが特徴だ。その内容をじっくり見ていこう。
「GA-B250-FinTech(Ver.1.0)」の主なスペック | |
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フォームファクター | ATX |
チップセット | Intel B250 Express |
メモリー | DDR4-2400対応×4 |
拡張スロット | PCI Express (Gen3) x16×1、PCI Express (Gen3) x1×11 |
ストレージ | SATA 6Gb/s×6 |
インターフェース | USB 3.0×6(背面4、フロント用2)、USB 2.0×6(背面2、フロント用4)、D-Sub15ピン ×1、DVI-D×1、PS/2×1 |
ネットワーク | 有線LAN(Realtek RTL8111G) |
サウンド | 2ch HD Audio(Realtek ALC887) |
グラフィックスボードを最大12本搭載可能
GA-B250-FinTechの最大の特徴が、ズラリと並んだ拡張スロット。PCI Express 3.0x16スロットを1本のほか、PCI Express 3.0x1スロットを11本も搭載している。市販されているPCI Express x16→x1変換ケーブルを使えば、最大12枚ものグラフィックスボードを装着可能だ。
この仕様は、仮想通貨マイニングで主に使われるのが複数GPUを搭載したPCであるというマイニング特有の事情を反映したもの。マイニングリグの構成は、一般のPCとは異なり、CPU、メモリ、ストレージは最小限で、グラフィックスボードをできるだけたくさん搭載するというのがセオリーだ。3Dゲームのグラフィックス描画などと異なり、複数のGPUが独立して稼働するため、SLIやCrossFireを設定する必要はない。
グラフィックスボードのインターフェースはPCI Express 3.0x16だが、マイニングはGPUの計算処理の負担が非常に大きいので、帯域は3.0x1(片道約1GB/s)やPCI Express 2.0(片道500MB/s)でも不足することはない。こうしたマイニングの事情はすでに広く知られているため、PCI Express x16→x1の変換ケーブルも容易に入手できる。
一般的なマザーボードが使えるPCI Expressスロットは6~7本。これより多いグラフィックスボードを使うマイナーにとっては、CPU、メモリー、ストレージのコストを節約できるメリットが大きいというわけだ。
PCI Expressスロットの近くには、補助電源コネクタとして4ピンのペリフェラル電源コネクタを2つ装備。マザーボードへの給電を補助することで、ATX/ATX12Vメインコネクター/ケーブルの負荷を軽減し、PCI Expressスロットからグラフィックスボードに対し、より安定した電流が供給できる。
電源連動ケーブルなど電源対策もバッチリ
多数のグラフィックスボードを高負荷で運用するには大容量電源が必要。グラフィックスボードの数によっては電源ユニットを2~3台使う必要も出てくるが、本製品はシステムの電源のオン/オフに他の電源を連動できる3-in-1ケーブルを同梱している。そもそも、基本的にPC向けのATX電源はマザーボードからスイッチを入れないと起動できない。1組のピンをショートさせれば単独起動もできるが、毎回そのような操作をするのは面倒だし、安全性にも不安が残り、うっかり通電したままパーツを組み替えてしまうなどトラブルの元になる。こうした3-in-1のケーブルがあれば、マザーボードの電源操作だけで最大3台の電源ユニットを連動させられるため、便利かつ安全に使うことができるわけだ。
そして、マイニングリグは、PCケースのような箱型ではなく、骨組み状態のフレームに組み付けて運用することが主流。PCケースに入れなくとも電源やリセットボタンを操作できる「フロントパネル用スイッチカード」も同梱している。