4月から既存のBS局の一部でチャンネル移動が行なわれるなど、12月1日に開始される4K/8K放送の準備が着々と進んでいる。
受信環境についても、去る3月28日にピクセラが4Kチューナー「PIX-SMB400」を3万円未満で発売すると発表。東芝映像ソリューションも4Kチューナーの開発表明開発表明を行なっている。
これらの製品はうたうのは、4Kチューナーを用意すれば今あるテレビで4K放送が(最低限)見られる、ということ。しかし、利用するテレビや受信設備によって見られる番組や画質が変わる。そのあたりをまとめてみた。
テレビ(ハイビジョン)も受信設備もそのままの場合
ハイビジョン画質でキー局の番組は見られる
まず、家にあるのが4Kテレビではなくハイビジョンテレビ(2K)で、受信設備(アンテナやブースター、分配器など)も変更しない場合。
理屈では、番組はハイビジョン画質で表示でき、受信できるのはBS朝日、BSジャパン、BS日テレ、NHK(4K)、BS-TBS、BSフジで、ショップチャンネル、QVC、映画エンタテインメントチャンネル、WOWOW、NHK(8K)などは見られない。
つまり、何もしなくてもチューナーさえ接続すればキー局の4K番組はハイビジョン画質で見られるはずだ。
ただし、チューナーの仕様などにより、アンテナを新しいもの(右旋、左旋対応)にしないと受信できない、という可能性は考えられる。
このあたりの情報も製品の開発が進めば今後出てくるだろう。
4Kテレビをすでに持っている場合
4Kテレビの新しさによって4K、HDRで見られるかが変わる
家にあるのが4Kテレビの場合は、当然4K画質で見られる……と思いきや、そうはいかない可能性がある。
チューナーはHDMIで接続することになるが、テレビ側が著作権保護技術の「HDCP 2.2」に対応していなければ4K放送の映像は出力できない。
初期の4Kテレビだと、このHDCP 2.2に対応していないものもあり、そのようなテレビではハイビジョン画質での表示となる。
とはいえ、発売当初はHDCP 2.2に対応していなかった4Kテレビも、2014年6月に開始された4K試験放送がHDCP 2.2必須となった関係上、基板交換などで対応可能とするサービスを提供。
結果的にHDCP 2.2非対応のテレビはごく一部であり、これまで発売されたほとんどの4KテレビはHDCP 2.2に対応している。
また、4K/8K放送はHDRにも対応する。HDR(ハイダイナミックレンジ)は画面の輝度範囲を拡大する技術であり、対応テレビであればより階調の豊かな映像を楽しめるわけだが、現行のテレビではごく限られた製品のみの対応となる。
HDR対応の4Kテレビは数年前から登場しているが、HDMIでの入力は「HDR 10」という方式に限られている場合がほとんど。
しかし、放送で用いられるのは「HLG」というHDR方式。この方式でのHDMI入力をサポートするのは、2017年以降に発売された4Kテレビの一部になる模様。
また、最近シェアを伸ばしている低価格4Kテレビは、そのほとんどがHDRそのものに対応していない。
もちろん、HLGおよびHDR非対応テレビでも視聴は可能だが、どうしてもHDR画質で見たいという場合は新しいテレビの購入を検討した方がいいだろう。