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松本典子の「Azure Logic Apps」超入門 第1回

SNSやビジネスアプリ、AIなど色々連携して業務を自動化

誰もがシステム開発者!ノンコーディングで使える「Logic Apps」を試そう

2018年02月06日 12時00分更新

文● 松本典子 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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 こんにちは。Azure MVPの松本典子です。この連載では、マイクロソフトが提供する「Azure Logic Apps」について、3回に分けて説明していきます。第1回目は、Logic Appsとは何なのか、何ができるサービスなのかを中心に紹介します。

Logic Appsとは?

 Logic Appsは、ノンコーディングで多くのアプリケーションやWebサービスを結合して連携システムを作ることができる、iPaaS(Integration Platform as a Service)とも呼ばれるサービスです。2016年7月にAzureのサービスの1つとして一般提供(GA)が開始され、現在はAzureの東日本・西日本リージョンでも利用可能になっています。

 ノンコーディングでサービスを結合するLogic Appsに似たサービスには、IFTTT(イフト)myThingsなどがありますが、Logic AppsはSQL Server、Azure Cosmos DBなどのデータベースや、AI APIサービスMicrosoft Cognitive Servicesなど、開発者が使うようなサービスも連携できるという特徴があります。

Logic Appsでできること

 Logic Appsは、「コネクタ」をつないでサービス間を連携します。マイクロソフトのSaaSやAzureの各種サービスのほか、TwitterやFacebook、Slack、Gmailを含むGoogle関連のサービス、Adobe、Amazon Redshift、Oracle Databaseなど、サードパーティー製のソーシャルサービスから、SaaS、エンタープライズアプリまで、現時点で180個以上のコネクタが用意されています。

Logic Appsのコネクタの一例

 例えば、会社のOffice 365でスケジュールを追加したときに個人のGoogleカレンダーにも予定を自動で投稿するシステムが、Logic AppsではOffice 365のコネクタとGoogeカレンダーのコネクタをつなぐだけで実現できます。

 AI機能を使うような少し複雑なワークフローも作成できます。例えば、Web制作に携わる人であれば、誰しもalt属性(画像の代替となるテキスト情報)の書き方に悩んだ経験があるのではないでしょうか。アクセシビリティの観点からも、画像の状況を適切に説明する文章を入れることが推奨されていますが、不慣れな人がイチからalt文章を作るのは大変ですし、慣れている場合でも画像の枚数が多いと手間や時間がかかってしまいます。

 Logic Appsでは、マイクロソフトの学習済みAI APIサービスであるCognitive Services の「Computer Vision API(画像認識AIのAPI)」コネクタが提供されています。画像の内容を自動でテキスト化する画像認識AI機能をうまく使えば、自動でalt属性を作る仕組みをノンコーディングで作成することができます。

 余談ですが、マイクロソフトがOffice 365で提供している「Microsoft Flow」は、Logic Appsの上に構築されているサービスなので、見た目はほぼ同じで、それぞれのコネクタは一部を除いてもう一方でも動作します。Logic Apps とMicrosoft Flowの違いについては「Flow、Logic Apps、Functions、WebJobsの比較」を参照してください。

Logic Appsの基本操作

 Logic Appsは、Azure上で使うサービスです。Azureは開発者向けサービスなので操作が難しいと思われるかもしれませんが、Logic Appsは非エンジニアであっても簡単に使えます。詳しい操作手順はこの連載の2回目で紹介しますので、ここでは、Logic Appsの基本操作を見ていきましょう。

 Logic Appsの基本操作は、Azureポータルの「ロジック アプリ デザイナー」画面で行います。デザイナー画面上で、設計したシステムのプロセスを一連の手順やワークフローとしてグラフィカルにモデル化することができます。

Logic Appsのロジック アプリ デザイナー画面

 Logic Appsで作成するシステムは、ワークフローの先頭にくるコネクタ「トリガー」がイベントを受け取り、後続の「アクション」で処理を行うサーバーレス実装になります。そのため、クラウドでのシステム開発で通常必要になるスケールやインスタンスについてユーザーは心配する必要がありません。「トリガー」とはワークフローの新しいインスタンスを開始する合図となる特定のイベントのこと、「アクション」はワークフローにおけるトリガーの後の各ステップのことです。

 Logic Appsを使ってのシステム設計で必要なのは、トリガーとアクションに関するワークフローの定義のみ。ロジック アプリ デザイナー画面上でこの操作をノンコーディングで行うことができます。

処理の途中追加

 Logic Appsは、出来上がったワークフローの途中に処理の追加をしたり削除したりといったことも簡単にできます。例えば、Slackにメッセージを投稿するワークフローにメール送信の機能を付けたい場合は、上図のように追加します(上図は、並列分岐の追加を選択しています)。

Logic Appsの料金

 Logic Appsは、アクションとコネクタの実行に対して従量課金されます(統合アカウントは除く)。課金単位は、1アクションごと(コネクタごと)になります。つまり、成功/失敗にかかわらず、実行のすべてがカウントされ課金されていきます。GmailやDropBoxなどで「(処理が発生したか)毎秒確認する」というような条件のトリガーを使用するときは都度課金が発生するので注意してください。ただし、以下の場合は課金されません。

  • 条件が満たされなかったためにスキップされたアクション
  • ワークフローが完了前に強制終了されたために実行されなかったアクション

Logic Appsの課金単位

 料金はAzureの東日本リージョンと西日本リージョンで若干異なります(2018年1月現在)。料金の詳細については「Logic Apps の価格」を参照してください。

Logic Appsの西日本・東日本リージョンでの価格

まずはLogic Appsをお試ししてみよう

 Logic Appsがどのようなものか、イメージがつきましたでしょうか? Logic Appsを使うことで、誰でもシステム開発者となって、日々の業務の自動化や補助ができるワークフローをノンコーディングで作ることができます。まずは試しに使ってみたいというときは、Azure App Service を試すからLogic Appsを無料でお試しできます。

 なお、Logic Appsのコネクタの種類は日々増えていっていますが、新規コネクタは一斉に全てのリージョンに提供はされていません。最新のコネクタが提供されやすいリージョンは現時点では「米国中西部」なので、いち早く新しいコネクタを検証したい場合などは、米国中西部リージョンで使うことをおすすめします。

 次回は、Logic Appsの操作方法について説明します。

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