ヘリウム充填モデルは、他社製も含めヘリウムを使用していないHDDよりも動作音がする傾向にある。そのため、次は動作音と温度について触れておきたい。動作音は騒音値で記載すると、暗騒音31.5dBAの環境下で最大38dBAとそれなりに耳に付く数値を記録し、実際ちょっとうるさく感じるレベルだ。ただ、傾向として「カリカリ」音(34dBA程度)よりも、大きめな振動を伴う「ガッ ガッ」「カツカツ」といった感じの音(38dBA前後)が動作中の大半を占め、読み書きしていない状態でも発生する。
この動作音が、かなり耳障りに感じる訳だが、他社のヘリウム充填モデルでも同じ傾向の動作音を確認しているため、ヘリウムガスでヘッドの移動音が強調されているのかしれない。「IronWolf」シリーズは6TBモデルから、回転数が7200rpmになるため、リビングや書斎といった動作音が気になる場所に設置するなら、回転数が5900rpmになる容量4TBモデルまでが狙い目かもしれない。
続いては動作温度だが、室温21℃前後の部屋にNASを設置し、「HDDハイバーネーションからの復帰時」、「通常時(アイドル状態)」、「約80GBのファイルコピー時」(連続書き込み)、「NAS内の動画ファイルを再生(約2時間25分)」(連続読み出し)、「パリティ整合性チェックの17時間連続アクセス時」の温度をディスク1~ディスク4、それぞれ記録している。
なお、NASが備える冷却性能でHDDの温度は大きく変わるところだが、「DiskStation DS918+」のファン動作モード(デュアルファン仕様)は、ファン動作音がまったく気にならないレベルだった「低ノイズモード」の状態で確認を行っている。
「DS918+」使用時の「ST12000VN0007」の温度 | ||||
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ドライブ | Disk1 | Disk2 | Disk3 | Disk4 |
HDDハイバネーション復帰時 | 19℃ | 19℃ | 19℃ | 20℃ |
NAS通常時 | 26℃ | 28℃ | 28℃ | 28℃ |
80GBのファイルコピー時 | 31℃ | 32℃ | 32℃ | 32℃ |
NAS内の動画ファイルを2時間30分再生 | 32℃ | 33℃ | 33℃ | 32℃ |
パリティ整合性チェック(約17時間動作後) | 35℃ | 37℃ | 37℃ | 37℃ |
RAID5構築時のパリティ整合性チェックで、17時間連続アクセス(読み出しメイン)した際でも、温度は最大でも37℃に留まっている。一般的なHDDだと、40℃を軽く超えることが多いので、30℃台というのは、かなり低いといえる。これなら、過酷な読み書きも安心して行なえるだろう。
もちろん、Synology製NASの高いエアフロー性能の影響も大きい訳だが、ハイバネーションからの復帰時やアイドル状態の温度が低いのは、Seagate独自のNAS最適化ファームウェア「AgileArray(アジャイルアレイ)」が備える最適な電源管理により消費電力を削減(=発熱量低下)する機能の効果もあるだろう。
Synology NASにベストなIronWolf」シリーズ
「IronWolf」シリーズの最大容量モデルとなる12TBの「ST12000VN0007」×4台をSynology製4ベイNAS「DiskStation DS918+」で試してきたが、構成RAIDに関係なく安定したパフォーマンスを発揮していた。
動作音と温度に関しては、容量で回転数やヘリウム充填といった仕様が異なるため、「ST12000VN0007」のみで「IronWolf」シリーズ全体を語れないが、動作温度に関しては、一般的なHDDとNASでは45℃前後になるような連続アクセス時でも30℃台と、かなり低い温度を維持したのは驚きといえる。
「ST12000VN0007」は、2台によるRAID1でも4Kなどの超高解像度動画の編集前、編集後のデータを余裕で保存できる実容量10TBオーバーを実現できる。2万円台で購入でき、録画した番組をNAS転送できる「DiXiM Media Server」にも対応するSynologyの人気2ベイNAS「DS218j」と組み合わせるのもありだろう。
(提供:Seagate)