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メガバンクも対岸の火事ではないと指摘:

SBI北尾社長コインチェックに激怒「カス中のカス」と猛批判

2018年01月31日 10時30分更新

文● G. Raymond

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 仮想通貨取引所コインチェックで1月26日に発生した約580億円相当の仮想通貨流出事件を受け、SBIホールディングス代表の北尾吉孝社長が30日、運営元コインチェック社を「カス中のカス」と声を荒げて批判した。同日に開催した同社2018年3月期第3四半期決算説明会の中で。

 北尾代表は、同件の問題点はウォレットに関して基本的なセキュリティー対策さえ講じていなかった「本当に初歩的な問題」であると指摘。同社がCMを出していたことにふれ「お金をかけなければいけないところ(セキュリティー)にお金をかけず客を集めるためにお金を使った。こういう輩はカス中のカス」と喝破した。

 また、今回の件は仮想通貨事業をはじめたメガバンクにとっても対岸の火事ではない旨、警鐘も鳴らしている。

 「大手はMコインやJコインなど自分の銀行の仮想通貨を発行している。経費節減になるのはメガバンクだ。膨大なATMがいらなくなるため。これは結構だが、今度のコインチェックとは別物かと考えているかもしれないが、安全補強に対しての問題点はある。そんな簡単にいけることじゃない」(北尾社長)

 同社2018年3月期第3四半期決算説明会はYouTubeで視聴できる。コインチェックに言及しているのは説明会開始1時間16分経過時点。

2018年3月期第3四半期 SBIホールディングス(株)決算説明会
https://www.youtube.com/watch?v=xdncNU0-Aoo

●該当箇所発言要旨

 仮想通貨の場合は中央集権じゃないある種の世界通貨だ。世界中どこから悪い輩が乗り込んでくるかわからない。徹底的に安全対策・盗難防止をやらないといけない。

 一番対策をしなければいけないのはウォレットだ。そのためにSBIでは世界中から技術を持っているところを探しまわった。やらなかったらどうなるかというと韓国の仮想通貨取引所YouBitだ。2度目となるハッキング攻撃を受けて総資産の17%相当を失い破産申請した。ICOサーバーに攻撃してきてトークンを取られるケースもあった。世界平均で月100回のサイバー攻撃を受けている。総資金調達総額37億ドルのうち10%に相当する4億ドルがサイバー攻撃で盗まれているというレポートもある。誰が考えてもウォレットが危ない。世界中から悪い輩が攻めてくるだろうということは想定されている。したがって、対応を十二分にやらないとダメということだ。

 まったくやっていなかったのがコインチェックだ。

 580億円相当の不正流出。まあ本当に初歩的な問題だ。コインチェックの問題は、ホットウォレットで、インターネット外部に接続した状態でNEMというものを保持していた。まったくナンセンスだ。インターネットにつなげて保持しているというのは「いつやられてもいいですよどうぞ」ということだ。さらにNEM財団から推奨されているマルチシグ(ニチャー)の締結もしていない。きわめて初歩的な問題をすべてやっていなかった。「四百数十億円返します」(註:コインチェックは26日、利用者26万人に対して460億円超の返金を約束した)って、あの会社が返せると思えない。返せるとしたらあのビジネスがそれだけ儲かっていたということだ。創業して何年になるんだこの会社は。そんなに儲けていたのか。儲けていたなら税金は払っているんだろうな、申告して。あの会社が多額の税金を払っているなんて聞いたこともない。どうやって四百数十億円も出すのか。金融庁は徹底的に審査をしないといけない。

 システムだけじゃなく財務においてもチェックしないといけない。四百数十億円を返せたら税務署も入ってくるだろう、常識的に考えて。いまどき現金でそれだけ払える会社は少ない。よっぽど20〜30年の歴史をふまえて収益を出してきた内部留保が潤沢な会社でなければ。昨日今日できたようなベンチャー企業が出せるとは思えない。もっとも腹立つのはコインチェックがCMに多額のお金を払っている。こういうときもっともお金をかけなければいけないところ(セキュリティー)にお金をかけず、客を集めるだけにお金を使っている。こういう輩はカス中のカスだ。幸いわたしどもはこんな会社に投資していない。いっさいの付き合いはやめると宣言している。

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