欧州には子供向けの”スマートウォッチ”を禁止する国も
スマートウォッチ市場に進出を始めたのは時計メーカーだけではない。VTech、Leapfrogなどの玩具メーカーも、子供向けにスマートウォッチを作り初めている。
玩具分野はすでにタブレット風のおもちゃなど、電子機器化が進んでおり、スマートウォッチもその延長線にあると言える。ところが、ドイツの規制当局は2017年秋に、5歳から12歳の子供向けのスマートウォッチの販売を禁じるという動きに出た。
原因はプライバシーだ。スマートウォッチについたGPSにより、装着した子供の位置情報を暗号化なしに国外にあるサーバーにユーザーの許可なしで送っていたり、悪用の結果、装着している子供に直接やりとりできてしまう可能性があることなどがわかったからだ。EUの消費者機関も、子供向けのスマートウォッチについて警告を出している。
その先駆けとなったノルウェーの消費者機関による調査で対象となった4機種のうちの1つがGatorだ。GPSを利用して、親のスマートフォンから子供の位置情報を把握できるほか、スマートウォッチ側のSOSボタンで親に緊急呼び出しができるなどの機能があり、50ドル程度から手に入る。対象年齢は3歳から12歳向けとしている。OSは独自であり、スマートウォッチというには役不足で、GPSウォッチくらいの呼び名が正確かもしれないが……。
子供向けの”スマートウォッチ”の騒動も、市場が盛り上がり始めたことの裏返しと言える。今後は、スマートフォンメーカー、フィットネスバンド、時計メーカーなどがそれぞれスマートウォッチ市場で戦うことになるだろう。スマートフォンとは違う方向に発展するかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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