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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第19回

ベルリンフィルから西城秀樹まで、11月の名盤

麻倉推薦:やっぱりカラヤン? アナログ時代の名盤がDSDでよみがえる

2017年12月11日 19時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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『70'sシングルA面コレクション』
西城秀樹

 配信限定の西城秀樹ハイレゾ。今回の配信用にアナログ・マスターからリマスタリング(96kHz/24bit)したファイルだ。懐かしのYOUNG MAN (Y.M.C.A.)。高揚感溢れる、この曲が、もともとこれほど音質にこだわっていたのかと初めて分かった。単に調子が軽快な曲というだけでなく、音的にオケ、コーラス、ボーカルのバランスが良く、音色も過度にカラフルではならず、イコライジングも過度に中域主体ではない。70年代のアナログ録音の良さがハイレゾで味わえる。「傷だらけのローラ」はアグレッシブで、エモーショナルなボーカルの魅力が迫る。

FLAC:96kHz/24bit
Sony Music Direct(Japan)Inc.、e-onkyo music

『Very Special (PCM 96kHz/24bit)』
大西順子

 ジャズピアニスト大西順子が、デビュー25周年を記念するアルバムを2枚同時リリース。1枚目がバラード集の『Very Special』。バラードははじめてという。「私の作品はBGMにならないって言われてきましたが、今作は初めてゆっくりとした時間をサポートできるような楽曲集になれるかもしれませんね(笑)」とインタビューで語っている。

 1曲目「 ~Intro~」では冒頭の半音下降が不安定なファンタジー感を醸し出している。ピアノとパーカッションのみだが、残響の多さと相俟って不思議な音感覚だ。ソロピアノで、低域から高域まで縦横にかけのぼるピアニズムの華麗さ。3曲目「Lush Life」では、華麗なアルペジォを聴かせるピアノと、アクセントを明解に表現し、悠々たる進行感で迫るバリトンヴォーカルとの対比が、心地良い。このヴォーカルは、基本的に聴くものに安寧感を与えるが、その背景で、所狭しと縦横に鍵盤の上を舞うピアノの修飾が華麗で、対照的。

FLAC:96kHz/24bit、WAV:96kHz/24bit
SOMETHIN'COOL、e-onkyo music

『Glamorous Life (PCM 96kHz/24bit)』
大西順子トリオ

 前回のトリオ録音「楽興の時」から年ぶりのレギュラー・トリオ新作。大西のピアノは、一音一音を慈しむ。スローなテンポでは、メローで、ファインなタッチが鍵盤感を鮮明に描きだす。トリオのアンサンプルに支えられたピアノの歌いの美しさ。1曲目のEssentialはそんな抒情が続くのだが突然、ハードで硬質な部分が出現し、またもとのリリカルな表情に戻る二面性が面白い。2曲目Golden Boysの無限に続く、円形なアルペジォ、3曲目A Love Song (a.k.a Kutoubia)の優しい、訴えかける表情がピアノで語られる。4曲目 Arabesqueの砂漠に迷い込んだうな不思議な彷徨。

FLAC:96kHz/24bit、WAV:96kHz/24bit
SOMETHIN'COOL、e-onkyo music

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