さとうなおきの「週刊アジュール」 第11回
Azureリソースに利用のルールを適用する「Azure Policy」がパブリックプレビュー
MSがブロックチェーンでR3との提携強化、Azureと統合したアプリ構築が可能に
2017年11月30日 12時00分更新
こんにちは、さとうなおきです。「週刊アジュール」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Microsoft Connect Japan 2017
先週の記事(前編、後編)では、11月15日から17日に米国ニューヨークで開催された開発者カンファレンス「Microsoft Connect 2017」のアップデートを中心に取り上げました。
11月17日には東京で開発者カンファレンス「Microsoft Connect Japan 2017」を開催し、私も登壇してAIに関するセッションを行いました。詳細は、レポート記事「誰がケネディを殺したのか――公開された暗殺文書をマイクロソフトのAIで解読」、ブログポスト「Microsoft AIによるインテリジェント アプリケーションの構築」をご覧ください。
Azure MigrateのパブリックプレビューとVMware virtualization on Azure
オンプレミスのVMware環境のAzureへの移行に関するアップデートがありました。
Azure Migrateは、オンプレミスのVMware環境のAzureへの移行を支援する無料サービスです。オンプレミス環境の検出、アセスメント、依存関係のマッピング、VMのサイジングなどが可能です。そして、Azure Site Recoveryを使ったIaaSのAzure Virtual Machinesへの移行、Azure Database Migration Serviceを使ったAzure SQL Databaseを行うことができます。
Azure Migrateは、今年9月に開催されたIgnite 2017カンファレンスで発表され、限定プレビューが始まっていました。今回、Azure Migrateがパブリックプレビューとなりました。
また、オンプレミスのVMware環境をAzureサービスに移行するアプローチに加えて、Azureデータセンター上でVMware自体を実行する新サービス「VMware virtualization on Azure」が発表され、プレビューが始まりました。VMware virtualization on Azureを使うと、オンプレミスのVMware環境をそのままAzureに移行可能になります。
VMware virtualization on Azureは、MicrosoftとVMware認定パートナーの協力によって提供されています。GA(一般提供)は、来年の予定です。
詳細は、ブログポスト「Transforming your VMware environment with Microsoft Azure」、記事「マイクロソフト、AzureからVMwareハイパーバイザー搭載のベアメタル環境を提供」、VMware to Azure、Azure Migration Centerをご覧ください。
Azure Policyのパブリックプレビュー
Azure Policyは、Azureリソースにさまざまなルールとアクションを適用するポリシーの作成、割り当て、管理のためのサービスです。
Azure Policyのポリシーの例としては、「すべてのリソースが特定のAzureリージョン(東日本リージョンなど)にデプロイされなければならない」、「特定のリソース(VMなど)の作成だけを許可/禁止する」、「VMで管理ディスクの利用を強制する」といったポリシーがあります。
Azure Policyは、今年9月のIgnite 2017カンファレンスで発表され、限定プレビューが始まっていました(関連記事)。
今回、Azure Policyのパブリックプレビューが始まりました。Azureポータル内のAzure PolicyのUIの刷新、ポリシー定義言語の拡張などの新機能もあります。
詳細は、ブログポスト「Public preview of new Azure Policy features」、ドキュメントをご覧ください。
Azure Backupのアップデート
Azure Backupは、バックアップ/復元サービスです。
Azure Backupでは、オンプレミスデータのAzureへのバックアップに関しては、パスフレーズを使った格納時の暗号化をサポートしていました。
Azure Virtual MachinesのVMのバックアップでは、これまで、バックアップデータのセキュリティのためには、VMディスクの暗号化(WindowsのBitLocker、Linuxのdm-crypt)を使うことが推奨されていました。
今回、VMディスクのバックアップデータが、Storage Service Encryption(SSE)を使って格納時に暗号化されるようになりました。これによって、VMのバックアップデータの暗号化のためだけに、VMディスクの暗号化を行う必要がなくなります。
詳細は、更新情報「Storage Service Encryption for Azure Backup data at rest」をご覧ください。
ブロックチェーンでR3との提携を強化
Microsoftは、Azure Marketplaceでさまざまなブロックチェーン実装のテンプレートを公開することで、Azure上でのブロックチェーンアプリケーションの開発、テスト、デプロイを容易にしています。
R3は、100社以上の金融機関やテクノロジー企業と協力し、分散型台帳プラットフォーム「Corda」を開発しています。
MicrosoftとR3は2016年4月に分散型台帳の推進に関する提携を発表し、R3はAzureを推奨クラウドサービスプロバイダーに指定していました。
今回、Cordaの機能をAzureサービスとさらに深く統合することが発表されました。これによって、Azure Active Directory(ID管理)、Azure Key Vault(キー管理)、Azure SQL Database(チェーン外ストレージ、分析)といったサービスを使って、CorDapp(Corda上のアプリ)を構築できるようになります。
詳細は、ブログポスト「R3 on Azure: Strengthening our partnership」、プレスリリース「R3 and Microsoft Expand Partnership with Deeper Tech Integration」をご覧ください。
Azure Media Services:Azure Media Clipperを発表
Azure Media Servicesは、メディア配信サービスです。
Azure Media Servicesの新機能である「Azure Media Clipper」が発表され、パブリックプレビューが始まりました。Azure Media Clipperは、Web開発者がメディアクリップ作成のためのUIを提供できる、無料のJavaScriptライブラリです。
詳細は、ブログポスト「Announcing the public preview of Azure Media Clipper」、ドキュメント、デモサイトをご覧ください。
それでは、また来週。
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