攻殻機動隊っぽい光学迷彩からARアートまで目白押し

影がつくり出すアートとVRの融合がスゴイ!その意外な仕組みとは

文●ジサトラ ハッチ

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 そんななか、今回注目したのはさまざまなテクノロジーを駆使して「現実とデジタルの境のない空間」をつくりだすメディアアーティストとして活躍されている坪倉輝明氏の「不可視美術館」をピックアップ。

 不可視美術館は、何も作品が置いていない台、何も描かれていないキャンパスに懐中電灯を向けると光が当たり、台の上には彫像の影が、キャンパスには絵が浮かび上がる。影で表現される彫像やキャンパスの絵は、一定時間後に別の作品へと切り替わるといった、本物とは違う映像による演出も施されている。

暗い部屋の中には、白い台と白いキャンパスがあり、用意された懐中電灯を向けると彫像の影と絵画が浮かびあがり、驚きと神秘的な空間を演出する

懐中電灯の当て方によって、見えない彫像の影を、いろんな角度で確認できる

 白い台に近づき、台の上の空間、彫像が置かれている場所を懐中電灯で横なぎすると、まるで本当にその空間に置かれていた彫像に当たったかのような振動が懐中電灯から伝わり、彫像の倒れる音と共に、彫像の影が倒れる。

 本作品はHTCのVRヘッドマウントディスプレー(HMD)「VIVE」のトラッキングシステムを使って実現している。展示スペースである部屋と同等の広さの3D空間に、現実空間と同じサイズの展示台、キャンバスを仮想的に制作。懐中電灯は、中にVIVEのコントローラーが仕込まれている疑似的なモノで、実際は台やキャンパスの方に向いた部屋の上部に設置されたプロジェクターから、PCで処理した3Dデータの映像を投影している。

懐中電灯の中には、VIVEのコントローラーを内蔵。部屋の上部に設置されたプロジェクターから映像が投影される