このところ、都市部を中心に普及し始めているスマホ対応の飲料自販機。通信機能を搭載して“IoT化”した自販機は、ユーザーにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。プログラムも書ける“ギークなタレント”池澤あやかさんが、独自の取り組みを展開しているダイドードリンコの髙松富也社長を訪ねて、自販機の進化と未来について語ってもらいました。
髙松富也
ダイドードリンコ 代表取締役社長
奈良県出身。2001年に京都大学経済学部を卒業し、三洋電機に入社。2004年にダイドードリンコに入社し、2008年には取締役に就任。常務取締役(2009年)、専務取締役(2010年)、取締役副社長(2012年)を経て、2014年4月より現職。
池澤あやか
タレント
1991年生まれ、東京都出身。2006年に第6回“東宝シンデレラ”審査員特別賞を受賞し、同年に映画「ラフ」にてデビュー。2014年、慶應義塾大学環境情報学部を卒業。本業以外にも、プログラミングもこなす“ギークなタレント”として活躍中。
■「歩く自販機」のアイデアもあった!
池澤あやか:こんにちは、はじめまして。今日は、自販機の進化や未来について、髙松社長に直接いろいろとお聞きするためにお伺いしました。よろしくお願いいたします。
髙松富也社長:こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
池澤:さっそくですが、ダイドードリンコは2016年4月から、自販機とスマホアプリを連携させるサービス「Smile STAND」を開始しています。Smile STANDの機能について、今一度髙松社長から教えていただいてよろしいでしょうか。
髙松社長:自販機での飲料を購入したポイントがスマホの専用アプリで貯められるという機能がメインです。貯めていただいたポイントは「LINEギフトコード」「楽天スーパーポイント」「スクウェア・エニックス Crysta」など連携する他社のサービスに活用いただけます。豪華景品が抽選で当たる「Smile SLOT」「Quick SLOT」にも飲料購入ポイントでチャレンジいただけます。
※「Smile STAND」の詳細は公式サイトでご確認ください。
池澤:せっかく飲料を買うなら、ポイントを貯められたほうがオトクですね。Smile STANDを始めた経緯を教えていただけますか。
髙松社長:3年前に、「未来自販機プロジェクト」をスタートさせたことが始まりです。自販機は「商品を売る」という基本的な機能を持っていて、これが最重要なのは間違いない。ただ、それ以外の面で進化していないのは課題だと感じていたんです。自販機がもっと活躍するにはどうすればいいのか、もっと世の中の役に立つには何をしたらいいのか。まずはそれを考えることから始めようと、私が自ら若手の社員に声を掛け、このプロジェクトを立ち上げました。
池澤:未来自販機ですか!? 夢がある響きですね。そのプロジェクトでは、どんなアイデアが出たんですか?
髙松社長:最初の頃は、突拍子もないアイデアでもとにかく出し合って、みんなで共有しました。たとえば、自販機に足が生えて、お客様のところまで歩いていって商品を渡す、なんていうアイデアもありましたね。
池澤:おもしろい! そのアイデアは、今の自販機の姿からは想像できないですね。
髙松社長:夢物語みたいなものも含めて、本当にたくさんのアイデアを出したんです。そのあとで「まずはできることから実現させよう」ということになり、Smile STANDの第1弾機能として、対応自販機でお客様が商品を購入するたびにポイントが貯まるサービスを実現させました。
池澤:第1弾ということは、Smile STANDはまだ発展途上で、これからも進化させるつもりなんですね。
髙松社長:ポイントサービスは最初の一歩にすぎないと思っていますし、実際に今年9月には、新たに「Smile Town Portal」という機能を追加しました。これは、Smile STAND対応自販機で商品を買っていただいたお客様に「ホットペッパーグルメ」や「ホットペッパービューティー」の近隣の情報を提供するサービスです。自販機というのは、地域にとても密着したものですので、自販機周辺の情報が手に入ることには、お客様のニーズがあるはずだと考えました。
池澤:社内でそのようなアイデアを出しやすい仕組みのようなものがあるのでしょうか。
髙松社長:最初は私が主導で始めましたが、今は若手社員だけで主体的に集まってアイデアを交換する環境もできています。