5億ユーザーまでに成長した元祖クラウドストレージの勉強会が開催

企業はなぜファイルサーバーやNASをDropboxに移行するのか?

文●大谷イビサ/Team Leaders

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9月29日、クラウドストレージサービスを手がけるDropbox Japanは記者向けの勉強会を開催。勉強会では5億ユーザーを突破したDropboxのサービス概要と沿革を振り返りつつ、社内のファイルサーバーが、なぜ今Dropboxに置き換えられているのかの背景が説明された。

個人向けのクラウドストレージから企業向けのコラボレーションツールへ

 勉強会では、Dropbox Japan ジャパン マーケティング リードの上原正太郎氏が登壇。グローバルのユーザーで約5億、ファイル共有数で33億まで成長したクラウドストレージ「Dropbox」の概要を説明した。

Dropbox Japan ジャパン マーケティング リード 上原正太郎氏

 米Dropboxは、今から10年前の2007年に米国サンフランシスコで設立。「USBメモリでのファイルのやりとりが面倒だった」というきっかけで創業者が作ったサービスがベースになっており、当初はシンプルな同期型のクラウドストレージからスタートしている。個人向けサービスのイメージが強いが、2008年に共有機能を追加、2009年にAPI提供を開始し、2011年のチーム機能以降はコラボレーションの機能を徐々に拡充。IT管理者向けのツールと事実上無制限の容量を提供する「Dropbox Business」の利用も急拡大しているという。

成長を続けるDropbox

 現在、同社は「仕事のための仕事」を減らし、生産性を向上させるために、単なるファイルの同期や共有といった利用から、コラボレーションの領域に進みつつある。昨年からは、さまざまなコンテンツを埋め込んで複数ユーザーの共同作業場として使える新サービスの「Dropbox Paper」を開始。日本でも教育、メディア、建設業などの業界を中心に導入が進んでおり、今後は働き方改革の文脈での利用が増えてくると見込んでいる。

なぜ企業はファイルサーバーをDropboxに移行するのか?

 続いて登壇したDropbox Japanの井口和弘氏は、最近増えている社内のファイルサーバーからDropbox Businessへのマイグレーションについて説明した。

Dropbox Japan ソリューションアーキテクト 井口和弘氏

 現在、多くのIT部門ではファイルサーバーやNASの運用が悩みのタネになっていると井口氏は指摘する。ファイルサイズが肥大化し、ストレージ容量を圧迫するとともに、バックアップの負荷も増大。拠点ごとにファイルサーバーが乱立したり、ランサムウェアの危険性に晒されることも多い。もちろん、ハードウェアの老朽化も問題で、ファイルサーバーで用いているハードウェアが老朽化したら、順調に使っていても、リプレースの必要がある。

 こうしてIT部門が用意してくれたファイルサーバーだが、エンドユーザーも喜んで使っているわけではないようだ。社内へのアクセスが難しく、スマートデバイスからの利用も制限を受ける。また、外部と大容量ファイルをやりとりするのも、使い勝手や性能面で手間がかかる。そのため、ファイルの共有においては抜本的なアーキテクチャの変更が求められているおり、その方策として社内のファイルサーバーをDropbox Businessに移行する例が増えているという。

ファイルサーバー利用と運用の課題

 では、なぜDropboxを採用するのか? 複数あるポイントのうちDropboxで特に評価が高いのは、既存のOSと使い勝手が変わらない点だという。Windowsであればエクスプローラ、MacOSであればFinderからシームレスに利用でき、教育コストがかからないのがDropboxの大きな特徴だと井口氏は語る。

 もう1つのポイントが同期の速さだ。Dropboxではファイルをブロック単位に分割し、圧縮・暗号化し、並列的にファイルを転送しており、他に比べて性能が高いという。また、ファイル分割しているため、差分同期が細かくできるほか、サブネット内のPC間で直接データを同期する「LAN同期」やアップロードが完了する前に他のユーザーがダウンロードできる「ストリーミング同期」の機能も効果的だという。「広告や建設業界の場合、ファイルの数や量が圧倒的に多い。数100MBのファイルのやりとりで同期が遅いと使えない。その点、Dropboxは高い評価を得ている」(井口氏)。

 その他、井口氏は情報セキュリティ管理が充実している点、バージョン履歴をとれ、削除ファイルを復元できる点、マルチデバイスで利用できる点、さまざまなコラボレーション機能が利用できる点などを挙げ、Dropbox Businessへの移行が企業ユーザーにとって有効であることがアピールされた。

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