どうも理屈っぽくなってきてしまったので、中学生たちにどんな話をさせてもらったかを紹介させてもらうことにする。
コンピューターは、何を目指して作られてきたかというと「人工知能」や「ロボット」の世界だろう。18~19世紀にヨーロッパでチェスをする「トルコ人」という自動人形が人間を負かすほど強いと話題になった。ところが、中に人間が入って動かていた偽物だったというのは有名な話だ。しかし、それで話は終わらない。コンピューター以前の1912年に、スペインのレオナルド・トーレス・ケベードという人が、本当に“詰めチェス”をする機械を作ってしまっている。
人間は、自分たちと同じものを作り出そうとすることで、自分たちのことを知ろうとしている。それは、あらゆる知的好奇心の中でも(誤解を恐れずにいえば)最もエロチックな体験といえる。
NHKの『新・電子立国』にも出てきた話だが、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、高校生のときに「三並べ」(いわゆる〇×ゲーム)のプログラムを書いたそうだ。当時の有名な三並べのプログムといえば、(1)乱数でデタラメな手を打つ。(2)負けたらそこまでの手順を記憶。(3)打とうとした手が過去負けたのと同じ手順だったら別な手を試みる。初歩的なプログラムなのに、これを、繰り返しプレイすると人間に負けないようになる。
プログラムを書くことと、数学の問題を解いたりパズルを解いたりすることは根本的に違う行為である。TRONの坂村健さんと話をしていたら、パズルを解くようなことは「デタミニスティック(deterministic=決定論)的だろう」と言われた。山に登るのはデタミニスティックだが、登山鉄道のしくみを考えるのはプログラミング的だということだ。この違いはとても重要なのだが、子どもにプログラミングを教えるときにも混同しがちである。
この連載の記事
-
第168回
トピックス
オープン直前の新「マイコン博物館」におじゃまして展示品や施設を案内してもらった! -
第167回
トピックス
Googleの始め方――スタートアップをいちばん知っている人物が語る3つの条件とは? -
第166回
トピックス
女子大生が100日連続で生成AIで100本のプログラムを書いたらどうなったか? -
第165回
トピックス
生成AIも体験して学ぶ「AIのアイ」展がはじまった! -
第164回
トピックス
新しくなったChatGPTにできること、できないこと -
第163回
トピックス
日本にはコンピューター博物館が必要だ! 青梅の新「マイコン博物館」のクラファンがスタート -
第162回
トピックス
遊べるWebサイトを240秒で作る方法――DeployScriptを試そう -
第161回
トピックス
情報理論の父クロード・シャノンとChatGPTによる完全パングラムの生成 -
第160回
トピックス
アルファベット26文字をすべて使ってできるだけ短い文を作る with ChatGPT -
第159回
トピックス
最短15分! ChatGPTに自分の過去原稿を合体して“自分GPT”を作る -
第158回
トピックス
ChatGPTの新機能コードインタープリターに《未来の仕事の全自動化》が見える - この連載の一覧へ