SNPの自動化ツール採用、短期間/高品質な基幹システムマイグレーションの支援サービス
NTTデータGSL、ドイツSNPと提携でSAPシステム移行/転換支援
2017年09月08日 07時00分更新
SAPインテグレーション専業のNTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータGSL)は9月6日、ドイツのシュナイダー・ノイライター・アンド・パートナー(SNP)と提携し、SNPのデータ移行ツールを活用したSAPマイグレーション支援サービスの提供を開始した。国内の「SAP S/4 HANA」への移行本格化に伴う需要を見込む。
NTTデータGSLは、NTTデータグループの中で日本国内のSAP事業(SAPシステムに関する業務コンサルティング、システム構築、運用保守など)をワンストップで担う、SAPシステム専業のSIベンダー。海外(北米、欧州、アジア)のNTTデータグループ企業とも連携し、顧客である日系企業のグローバル展開を支援している。グループ全体でのSAP事業売上は1600億円超に及ぶ。
SNPは、ドイツを拠点にグローバルでSAPシステムの移行/転換(マイグレーション/トランスフォーメーション)を手がけてきた企業。グローバル70カ国、7000プロジェクトの実績があり、たとえば米ヒューレット・パッカード(HP)の分社に伴うシステム分割(6カ月間)、米ケロッグにおける大規模SAPワークロードのAWS移行(4カ月間)、英ロールスロイスのエネルギー事業売却に伴うシステムの切り出し(4カ月間)などを手がけた。
SNPでは、独自開発の基幹システムデータ移行支援ツール「SNPトランスフォーメーションバックボーン(SNP T-Bone)」を活用することで、通常は年単位のプロジェクトとなるSAP移行/転換を数カ月単位で実現してきた。SNP CEOのアンドレアス・シュナイダー氏は、SAPシステムの移行/転換市場ではまだ「99%が手作業」で行われているため、同社が手がける場合「コストを最大90%削減できる」と語る。
今回NTTデータGSLでは、SNPとの提携に基づき、SNP T-Boneを利用した顧客SAPシステムの統合、分割、マイグレーションなどの支援サービスを展開する。企業のM&Aや事業分割、組織改編、またS/4 HANAへの移行など、顧客ニーズとしては大きく5つのビジネスシナリオが考えられるという。
NTTデータGSL 代表取締役常務の小川兼一郎氏は、「これから日系企業で盛り上がってくるであろうS/4 HANAへの乗り換え、企業買収や事業譲渡/譲受(に伴うSAPシステムの統合/分割)といった場面で、SNPのソリューションが非常に有効であると考えている」と述べた。「安心、安全、安価に、短納期で(SAPシステムの移行/転換が)できるサービスにしていく」(小川氏)。
またNTTデータGSL 第一製造事業部 事業部長の新垣信仁氏は、2025年に旧来のSAP ECC(R/3)がサポート切れになることをふまえ、日本市場では「今後10年間でS/4 HANAへのリプレイスが相当なボリュームで見込まれる」と指摘。SNPとの提携を通じて、これまで自社では出来なかった移行テストや本番環境移行の作業も含め、NTTデータGSLがワンストップで提供できるようになることを説明した。
なお、SNP T-BoneはSAPシステムのOSやDBバージョンに依存しないほか、他社ERP/基幹システム(オラクル、マイクロソフト、シーベル、セールスフォースなど)との間のデータ変換/移行にも対応する。
NTTデータグループとSNPは、すでにグローバルではパートナーシップの実績があり、40以上のSAP移行/転換プロジェクトを成功させてきたという。SNPが直接日本市場に参入しない理由について、シュナイダー氏は「日本はアジア最大のSAP導入国であり、戦略的にも重要な市場だが、言語障壁などもあり、NTTデータGSLと手を組んで展開するのがベストだと考える」と説明した。今回、SNPからはT-Boneツールの提供や大規模プロジェクトへの技術支援、またNTTデータGSLのエンジニアに対する技術トレーニングなどを提供する。
NTTデータGSLでは、現在までに社内のSNP T-Bone技術者を4名育成しており、2020年までに16名体制まで拡大する方針。また案件獲得目標は、今年度中に2件、2020年までに年間およそ20件規模まで拡大したいとしている。