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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第50回

攻殻機動隊な世界!?リアルなサインをマーカーにするClickable Paper

2017年08月22日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 先日、遅ればせながら映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)を鑑賞しました。攻殻機動隊シリーズは、学生の頃に『アップルシード』(1988年刊)を読んで以来でしたが、十分に楽しめました。SF好きなら、攻殻機動隊をご存じ無い方にもオススメです!

 特に印象に残ったシーンは、劇中の街並みです。SF映画の名作『ブレードランナー』でも未来の街並みが表現されていますが、僕は「華やかさ」のある『ゴースト…』の街並みほうがピンとくるというか、現実味がありそうな気がしています。

ヨハンソンのボディだけでなく、近未来の街並みにもご注目を

QRコードの次世代ソリューション、Clickable Paper

 近未来を想像させる…といえば、スティーブ・ジョブズが愛車のナンバープレートのかわりにバーコードを貼っていたことが有名です。人間が視認できる数字やアルファベットのかわりにデジタルな記号であるバーコードを採用する…、ビジョナリーであり、反骨精神を持つジョブズらしいエピソードかもしれません。

 ジョブズの先見のとおり、現代ではカタログやテレビ画面の片隅にQRコードが表示され、スマホでサイトなどにアクセスすることが珍しくありません。そんななか、筆者が注目しているのは「Clickable Paper」です。

 「Clickable Paper」は「実践向けAR」とも呼ばれ、従来の白と黒のドットで構成されたコードを使わずに、さまざまなデジタルコンテンツにアクセスできる次世代技術です。

 「Paper」という言葉が使われていますが、マーカーは紙の印刷物だけに限らず、既存のイメージ、たとえば街の古い看板や案内板などもデジタルコンテンツの入り口の鍵に使えるのが特徴です。

筆者の名刺のロゴもデジタルコンテンツの入口の鍵のマーカーになっている

「人間の自然な連想」近い体験プロセス

 従来のバーコードやQRコードとの大きな違いは、人間が自然に連想するプロセス、「あるイメージを見て別の何かを思い出す」に近いところ。つまり、機械専用の黒と白の記号ではなく、人間用にデザインされた図形やレイアウトとデジタルコンテンツへのリンクが共存できることにアドバンテージがあります。ざっくりとした例えですが「桜の花が散るのを見て、卒業式を思い出しちゃう」みたいな連想プロセスです。(ただし実際のAR技術では、より具体的、個別的なイメージが鍵として必要)

筆者の名刺からは、公式サイトへのリンクとプロモーション動画にアクセスできる。デバイスの言語設定により他言語も表示される

QRコードを使わずに名刺とリンクしている公式サイト

 名刺などのレイアウトを考えるとき、QRコードやバーコードがデザインの邪魔にならないことも筆者にとっては大きなメリットです。将来の商品や運送などの流通を考えた場合、従来のバーコードからコストダウン化するICチップへの移行を考えると、より広がりが予想できる新技術です。

アプリ内にコンテンツデータを保持しない

 以前、テレビ番組とARをリンクさせるプロジェクトに関わったことがあります。アプリ製作から放映日まで間がなかったことから、アプリの審査が通るまでハラハラしながら待っていたのを覚えています。多くのARアプリでは、アプリの内部に動画などのコンテンツデータを保持してることが多いため、アプリのサイズが肥大化してしまうのも難点でした。

 しかし、QRコードと同様、別のサーバーに格納されたデジタルコンテンツなどを参照し、アプリのファイルサイズの軽減や最新コンテンツへの更新が手軽にできるのも特徴です。

アプリ内にデータを持たないので、HD画質の動画も再生可能なほか、更新も気軽にできる

少し照れますが、デモ用に筆者の名刺画像を公開中…(汗

 次世代のAR技術を気軽に体験してみたい方は、まずアプリ「CP Clicker」を下のリンクからダウンロードしていただき、別のPCなどに表示させた筆者の名刺画像(プリントアウトもOK)をアプリのカメラでスキャン(タップ)してください。

「CP Clicker」iOS用
「CP Clicker」Android用

 名刺画像の中央のベージュ色のロゴがARマーカーです。ニコちゃんマークが回転して「ティロリン!」とアプリが心地よく鳴ったらリンクが成功! 名刺画像が画面でオレンジ色になり、コンテンツへのリンクが表示されます。リンクされているのが、筆者の手前味噌なコンテンツで恐縮ですが…。

 ただひとつ言えるのは、繁華街の街並みが映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』のような拡張現実の世界になる時代も、もうすぐ先なのかもしれないということ。

「CP Clicker」のデモ用の筆者の名刺イメージ。少し照れくさいですが…

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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