異なるシステムをつなぐHULFT/DataSpiderの価値
大谷:さて、最後は強引にHULFTやDataSpiderの価値に結びつけるわけではないですが、最近は「データはビジネスの石油」であるという経済誌も出てきたくらいで、バイモーダルの時代にデータ連携は重要だなという話です。以前、ビッグデータのブームの時はデータサイエンティスト育成しようみたいなムーブメントがありましたが、なかなかブレイクしなかった。でも、今はクラウドもあり、演算能力も上がり、ツールが洗練されたことで、現場の人たちがどんどんデータを分析して、価値を出せる時代になっています。ここらへんのデータ分析の動向ってどんな感じでしょうか?
横田:データ分析の案件は3桁くらいやっているのですが、実際にビッグデータと呼べる仕事はなくて、ほとんどはデータを集める仕事です。いろいろなところにあるデータを集めて、フォーマットをそろえて、分析したい人がすぐにデータにアクセスできるようにするという内容です。社内のデータソースってどんどん増えていくので、最初はマスタデータやトランザクションデータでしたが、次はログが増え、そのうちモバイルデータが増え、IoTや人の感情まで取り込むようになります。これをいち早く分析して、施策に反映するため、環境を整えたいというニーズです。
みなさんの会社でInstagramのログを取り込んでいる会社っています? たぶんいないと思うんですけど、取り込んだ方が効果を得られるはずなんです。今さらPOS取り込むだけだと、売り上げ上がらないですよね。カスタマーがなにを欲しているか、どんな行動をしているか知るには、増え続けるデータを取り込んで施策に取り込む課程が必要。レコード数ではなく、むしろカラム数を増やせるようにデータ分析の環境を整える必要があります。そういったとき、なるべく作らないようするには、やはりDataSpider使うといいんじゃないですかね。
大谷:やはりデータ収集は苦労が多いんでしょうかね。
横田:目的ははっきりしているのですが、データの形式がバラバラです。データベース、ファイル、CSV、ダンプ、圧縮ファイルなどさまざまで、OSも言語も違います。SIも当然別なので、全社プロジェクトでやろうと思ったら、毎週定例で関係者集めてミーティングを設けなければいけない。面倒くさいじゃないですか。
だから、うちではとりあえずAmazon S3に放り込んでもらっています。S3にさえ上げてもらえば、あとフォーマットをそろえたり、クレンジングするとかは、うちがよろしくやります。とにかくバラバラのデータをそろえるためのシステム開発は無駄。だからバラバラのままでいいですとお話しすると、お客様も受け入れやすいです。
小野:DataSpiderやHULFTが使われているところって、今まで投資されていたシステムです。でも、これらを全部クラウドに移行するのは現実的ではないので、今までのシステムはそのままにしておいて、データはクラウドで利用しましょうという場面。全然違うシステムを連携させるのがDataSpiderで、全然違うシステムをつなぐのがHULFT。理想に向かっていろいろ一本化するというより、異なるシステムが混在する環境に世の中なっていくと思うんです。そのときに、違うモノはそれはそれで認め、それらをつなぐのがDataSpiderだし、HULFTです。
で、AWSでなぜHULFTが使われているのか? 先ほどの話と繰り返しになりますが、AWSというチャレンジングな環境においても、インフラのところは銀行に100%入っている手堅いHULFTで固めておきたいからなんです。異種システムとの連携であれば、DataSpiderもあります。うちの製品を使えば、安定的なところとチャレンジングなところとのバランスをとることができます。
大谷:無理に統合しようと考えるなと。違うシステムは違うシステムで認めて、つなぐところを作ってしまえと言う点では、ダイバシティ的な考え方ですよね。そう考えると、今回のパネルのテーマって意外と間違ってなくって、別のシステムとつなごうと思うと、いろんな組織がやりとりすることになりますよね。
小野:そういう意味では、バイモーダルとHULFT/DataSpiderって発想が似ているんですよね。違うモノを違うモノとして認めて、高みを目指していくって、僕の性格なんですね。
DataSpiderやHULFTって、その意味で文化的な架け橋になることも多いんですよね。メインフレームのことはわからない、オープン系やクラウドがわからないという人でも、DataSpiderやHULFTがあればきちんとつながる。データさえあれば、体験として使うことができるので、お互いを理解できます。
予測不可能な時代を乗り切るためのクラウド
大谷:そろそろ時間も来たので、まとめに入りたいと思います。まずは横田さんに今後目指していきたい世界というちょっと大きい話をお願いします。
横田:クラスメソッドは創業以来、事業会社を元気にしたいと思って、ITが得意でない会社を支援してきました。でも、気がついたら、ITが経営を左右するとか、ITが政治を動かすという流れになってきた。そんな中、お客様がちょっと試したいというときに、時間やお金がかかりますではなく、極力速く簡単にトライアルしてもらって、次の大きな動きのためのきっかけ作りをできたらいいなと思っています。
そのため、極力作らずに組み合わせるとか、時間単位で使えると言ったクラウドのテクノロジーを最大限活用していきたいし、活用する際には日本で一番詳しいパートナーですと胸張って言えるような自信や経験を身につけていきたいと思っています。
大谷:そんな横田さんには、シチズンデベロッパーのように自分たちでいろいろなシステムやアプリケーションが内製化できるようになったときの、御社の価値を教えてもらいたいです。
横田:困ったときに聞いてもらえるようなパートナーになりたいですね。Developers.IOの記事はすでに1万本超えました。AWSの記事も数千本あると思います。
大谷:はい。リリース見て、驚愕しましたけど(笑)。
横田:困ったらそこを見てほしいです。月間のPVで150万、UUで35~40万くらいあるのですが、そのうち99%はうちに1円も入りません。でも、1%でもお問い合わせいただければ、うちは安泰なんです。100人オーバーの会社なので、世の中の問題全部は解決できないですが、心意気としては「間接的に世の中の問題全部を解決している」というポジションになりたいなと思います。
大谷:なるほど。私が記事書いている想いも同じかもしれません。では、小野さんまとめをお願いします。
小野:今日話に出たシチズンデベロッパーや内製化、クラウドの使い方、バイモーダルなどは、根底はすべて共通しています。MITメディアラボの伊藤穣一さんがAfter Internet時代の行動原理のような話をよくなさるのですが、インターネット登場以降は世界の予測可能性が大きく変わってるんです。今までは過去の成功実績をそのまま実践すればよかったのですが、現在は突発的なことも起こるし、なにが起こるかを予想するのが難しい時代になっています。つまり、予測不可能なものが起こっているし、システムの世界でもそれが起こっているということなんです。
こうした時代に対応すべく、ウォーターフォールではなく、アジャイルのような開発様式が出てきましたが、登場した2000年代にはまだ受け入れられなかった。でも、予測不可能なモノの権化みたいな存在として、AWSのようなパブリッククラウドが出てきたら、シチズンデベロッパーも、内製化の流れも受け入れざるを得ない。予測不可能なものを予測するために綿密な計画を立てるのではなく、異種混在を是として、変化に耐えられるような組織や経営戦略を練るために、クラウドの受け入れはもはや待ったなしかなと思います。クラウドをきっかけにすれば、社内の文化を変え、組織をよくしていくことができるので、面白い時代になってきたなと思います。この予測不可能性というのが、共通の概念だと思います。
大谷:予測不可能という点では、出版業界的には「うんこ漢字ドリル」が売れるなんて、誰も思ってなかったですからね(笑)。
横田:うちの娘もめちゃくちゃ楽しんでます。うんこ1000個とか数えてます(笑)。
大谷:はい。まとめがうんこでいいのかという気もしますが(笑)、今こそ予測不可能な時代に対応すべく、アグレッシブにクラウドを使っていくという流れが必然になってきたということで締めたいと思います。お二人とも、長時間ありがとうございました!
(提供:セゾン情報システムズ)