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心を込めない「手書き文章」より「タイプ文字」の方が丁寧?

2017年07月05日 05時52分更新

記事提供:通販通信

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NTTデータ経営研究所が4日発表した「“手書きの価値”の実証実験」結果によると、手書きで心を込めて書いた文章はポジティブな印象を与え、タイピングした活字でのコミュニケーションは「読みやすく丁寧である」という印象を与えることが分かった。

 同実証実験は、NTTデータ経営研究所と千葉工業大学知能メディア工学科山崎研究室、東京大学大学院総合文化研究科酒井研究室などで構成された「応用脳科学コンソーシアム」が「アナログ価値研究会」で行った実験で、 「手書きの方が印刷されたタイプ文章に比べ、書き手の想いが相手に伝わる」という「アナログ価値」について科学的に検証した。

伝わり方は心を込めた手書き文章>タイプ文章>速記文章と判明

 実験では、書き手4人と読み手(被験者)40人を選出。書き手へは身近な友人に誕生日カードを送ることを想定し、「心を込める条件」「速記の条件」「タイピング条件」「自分の性格についての自己評価」などの筆記(または入力)を指示した。一方、読み手は友人から誕生日カードを受け取ったと想定し、書き手4人によるそれぞれの条件を満たしたカードを受け取り、「手紙の印象(思いがこめられているか)」「視覚的特徴(可読性、美しさ、丁寧さ)」「書き手の性格の推定」などを評価。書き手の思いがどのように読み手に伝わるかを検証した。

 その結果、手書き文字の場合、書き手の「心をこめて書いた文章」に対して、「思いが込められている」と感じることが判明。一方、「タイピング文章」に対しては、手書きの「速記文章」と比べると「丁寧である」との印象を与えることが分かった。

 同研究会はこれらの実験結果を踏まえ、「これまで対人コミュニケーションでは、経験的に“手書きが良い”と言われることが多かったが、タイピングによる活字でのコミュニケーションは、短時間で入力でき、かつ読みやすく丁寧であるという印象を与えるため、コストパフォーマンスの良いコミュニケーション手段と言える」と結論付けた。

 同研究会では、スマートフォンなどのデジタルデバイスの急速な普及に伴い、新聞・雑誌などの媒体や書籍の電子化が進んだ昨今、デジタルデバイスの便利さの一方で、「手で書いてコミュニケーションする」「紙で本を読んで学習する」などのアナログ製品を用いた行動には、デジタル製品を用いる場合と比較して、どのような利点があるかを研究している。

■NTTデータ経営研究所

■応用脳科学コンソーシアム

■応用脳科学R&D研究会

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