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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第171回

20億人という数字を超える、AndroidとFacebook

2017年07月05日 13時20分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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巨大エコシステムに対する、個人と家族の概念
Appleが個人に打ち出す現実的なメッセージ

 FacebookやGoogleのビジネスモデルは広告です。そのため、サービスやデバイスの利用者や、その属性の増加、多様化が、同社に対して配信する広告の価値を高めていきます。そのためにも地球の果てまで、新規ユーザーを求めていかなければなりません。

 その原則のうえには、Googleであれば世界中を検索可能にするというミッションがあり、Facebookは世界中の人々をつなぐというコンセプトの実現があります。

 これに対して、巨大プラットホーマーとして異なる立場を取っているのがAppleです。Appleはデバイス販売のビジネスが主体であることから、「最先端ではなく最高の製品を作ること」をモットーとしています。

 しかし、iOSの稼働数は10億台を突破したと昨年発表しており、また拡張現実を組み込んだ最新のiOS 11を発表する際には「世界最大のARプラットホーム」と豪語し、数の論理を振りかざすこともあります。ただこれらは開発者に対する発言であり、Appleプラットホーム向けのアプリを開発する人々に対して、優位性や投資を促すための誘い文句なのです。

 Appleが個人と対峙するとき、シンプルさや正しさ、そしてプライバシーや家族といったキーワードを活用します。特にプライバシーへの強烈な配慮は、ユーザーのデータを使ってエンジンを成長させるGoogleや、むしろ人とつながることを促すFacebookとは一線を画しています。その構図は今後も変わることはないでしょう。

 世界を覆う巨大なエコシステムの弊害が目立ち始めたとき、これに早く対処していかないと、Appleが発するプライバシーや家族、といったより現実的で地に足の着いたメッセージに人の気持ちが動いてしまう懸念があります。

 数を増やしながら、そうした諸問題に対処する、世界にまだ例のない舵取りを行う2社に、今後も注目していきましょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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