産業廃棄物の一部を再利用するアーティストやデザイナーは昔も今も多い。空き缶などを使用したアート作品は過去から現代まで満遍なく存在しているが、デザイナーが再利用し、製品として販売するためには、時代環境やその時のカルチャーの反映やら、さまざまなマーケティング的な支援が必要だ。
昔から、ステーショナリーや腕時計の分野は比較的多くの一部の産業廃棄物を応用し、加工転換した商品がよく登場してくるフィールドだ。腕時計に限って言えば、前回のブーム時に筆者がリサイクルウォッチを買ったのは1998年だった。
この年、NYCでは「Re-Watch」(リサイクルウォッチ)と呼ばれたモノが流行っていた。誰もが知っているコーラやビールなど炭酸系のアルミ缶を巨大な圧力で押しつぶし、加工して腕時計のケースやベゼルとして再利用したモノだった。
筆者はペプシコーラの缶を押しつぶしたのがハッキリと分かるRe-Watchを、「美女と野獣」のミュージカルを観に行ったブロードウェイ近くのガジェットショップで購入したことを今でもハッキリと覚えている。
実は今回衝動買いしたリサイクルウォッチと比較のために、20年近く前に購入した腕時計を家中ひっくり返して探してみたのだが、残念ながら見つからなかった。
今回衝動買いした腕時計は、香港のアーティストが「ALCHEMIST CREATIONS」(アルキメスト・クリエーションズ)という工房を起こし、空き缶を加工したデザイン商品のひとつだ。
台湾の誠品書店で買った「CAN WATCH S 30」
彼らのモットーは「We make EVERYTHING from SODA CANS」(ソーダの缶で何でも創っちゃう)なのだ。今回、筆者が購入したお店は、近頃は日本でも有名になってきた台北にある「誠品生活松●(草かんむりに於)店」だった。
ベースとなる誠品書店は台湾では超有名な書店チェーンだ。その書店が、ここ数年、ホテルやライフスタイル商品にもビジネスを拡大してきている。
そして4年ほど前に煙草工場の広大な跡地をリノベーションしたアートスペースエリアである「松山文創園区」にも展開したのだ。
なかなかグッドセンスで人気のお店が「誠品行旅」(ホテル)と「誠品生活」(ライフスタイル店)の2つのお店。
筆者が誠品生活で買った腕時計は「CAN WATCH S 30」(以降CAN-WATCH)という、赤いナイロンストラップの低価格なグループに入るモデルだ。
同じ低価格グループには、ほかにもストラップカラーが黒、青、茶、グレー、オレンジ、ピンクがあり、ストラップカラーにマッチする分針と秒針が組み合わされて取り付けられている。筆者の購入した赤ストラップモデルは時針は黒、分針と秒針は赤だ。
なかなか凝ったパッケージを開けると、本体の腕時計と保証書、取説、予備バッテリーなどが出てくる。
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