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「自分語り」になってない? コンテンツマーケティングでよくある勘違い

2017年06月08日 10時35分更新

文●Greg Snow-Wasserman

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コンテンツマーケティングがうまくいかないのは理由があります。陥りがちなミスから、成功の秘訣を探りましょう。

オンラインで製品やサービス、ブランドをうまく売り込んでも、効果的なコンテンツがなくては良い結果を得られません。訪問者が思わずコンバージョンしたくなる、楽しく魅力的で役立つコンテンツが必要です。コピーでコンバージョンを促すにも「売れるコピー」はコンテンツマーケティングのもっとも難しい部分の1つです。コンテンツマーケティングでの努力が的外れなものになってしまう状況は数多くあります。

この状況を踏まえ、コンテンツの計画・作成時に陥りがちな「コンテンツマーケティングによくあるミス」を6つ紹介します。

1.カスタマーのことを理解していない

ほかの要素とのかかわりを持たないコンテンツはありません。コンテンツはマーケティング活動全体の一部であるべきです。マーケティングの戦略に従ってコンテンツを計画しないと、チャンスを逃す結果になるでしょう。

コンテンツマーケティング戦略にとって重要なことを2点まとめます。

  1. オーディエンス:語りかけている相手を知らずに、良いコンテンツを作れますか? できませんよね。コンテンツマーティングで失敗しない最初のステップはバイヤーペルソナ(またはマーケティングペルソナ)を考えることです。「ペルソナ」とは、カスタマーの欲求、ニーズ、ゴール、気になる点を表現するためのアバターです。分析データに注力しすぎて見落としたセグメントがないか確認し、努力が的外れになるのを防ぎます。以上を踏まえてコンテンツを計画・作成すれば、個々のペルソナの心に響く機能やメリット、ユースケースに重きを置いたメッセージが伝えられます。
  2. コンテンツライフサイクル:コンテンツの多くはWebサイトでのコンバージョンを直接促進するわけではありません。ユーザーは、購買プロセスの各ステージで、コンテンツを探し、理解して受け止めます。コンバージョンプロセスのステージに合わせてコンテンツをデザインし、最適化します。
    たとえば情報を提供するブログで、リターゲティングのリードマグネット(見込み客を引き付けること)をしても期待した結果にはなりません。一方、各ステージに特化してデザインされた記事なら、コンテンツマーケティングの効果が期待できます。

バイヤーペルソナとコンテンツライフサイクルを考慮に入れてコンテンツ戦略を立てれば、コンテンツマーケティングのすべてのステージで効果が上がります。そして、集客の各ステップでユーザーに合った適切なキーワードを見つかるので、ユーザーと信頼や感情的なつながりを築けます(コンバージョンライティングのコツの6番目と7番目がこれに当たります)。

2.目的意識がない

車は目的地に向かって走らせます。はじめての場所でも変わりません。目的地があるから、正しい道順や時間通りに到着できるかといったことが分かります。目的地がないなら、ガソリンを無駄にするだけです。

コンテンツマーケティングでも同じことが言えます。ゴールを意識せずにコンテンツを作っても「ガソリンの無駄」になるだけです。

コンテンツのゴールを設定すると以下のことがわかります。

  • どのコンテンツが効果的か判断できる
  • どのコンテンツが効果的でないかを判断できる
  • マーケティングペルソナとコンテンツライフサイクル戦略を改良できる
  • コンテンツに関するビジネスメリットを測定できる

ゴールを設定したら、適切に設定したメトリクスに従って測定します。「ゴール」と「メトリクス」は同じものと思えるかもしれませんが、次の違いがあります。

  • ゴール:ビジネスで達成したい最終結果です。ゴールは「認知度を高める」「オーディエンスを増やす」「マーケティングリストの拡大」「コンバージョンの増加」「リテンションの改善」と、いくぶん包括的なものなのです。ゴールは、はじめは包括的で、絞り込むにつれて具体的になります。「Webサイトのトラフィック」「ソーシャルメディアのエンゲージメントとコメント」といった、Webサイトでの表面的な基準でゴールを設定することは避けます。
  • メトリクス:ゴールへの到達度を判定するために追跡・分析する実際のデータです。メトリクスとゴールの違いは、メトリックスは努力を評価できる測定可能な数値であることです。コンテンツマーケティングのメトリクスにはWebサイトのトラフィック、リターゲティングやEメールリストのサイズ、クリック率、リピーター数などが含まれます。

ゴールの設定がうまくできないと、ゴールに対する適切なメトリクスが見つかりません。ゴールの設定にはSMARTフレームワークがおすすめです。

3.誇大宣伝する

コンテンツマーケティングの失敗に、提供している製品、サービスなどの説明に時間をかけすぎることがあります。コンテンツマーケティングは、意思決定プロセスを通じたガイダンスでオーディエンスとの信頼関係を築き、自社をその道の権威として確立する絶好の機会です。製品、サービスの説明をしすぎる、ランディングページで過度な売り込みをかけるなどすると、ユーザーは警戒して逃げてしまいます。加えて、ユーザーはコンテンツの内容を単なるセールストークだと認識し、戻ってくることはないでしょう。

感覚的に分かりにくいかもしれませんが、自社やその製品についてなにも説明しないことが功を奏することがよくあります。ユーザーや検索流入をターゲットとしたランディングページを作成するときは特にそうです。ほかには、競合相手に言及したり自社で扱っていない製品や機能について説明したりすることも効果的です。

マーケティングでは以下のメリットがあります。

  • 信頼:取引したいと思ってない人に対して売り込みをかけすぎると、ブランドの信頼が落ちる。売り込みしすぎずに信頼を築き、自社のビジネスを権威ある偏りのない情報源として差別化する
  • リンク:多くの人は好意的な意見をもらって、公表したいと強く願っているため、ソーシャルメディアプロモーションに生かせる。Webにリンクを貼らずに被リンクを獲得できる
  • 競合相手:最初のページに表示されるコンテンツを競合相手に関連したキーワードで最適化したらすごいと思いませんか? 競合相手のキーワードをコンテンツに含めるのは効果的なのだ

4.付加価値がない

コンテンツマーケティングにおける付加価値不足は誇大宣伝に関連します。過度に自社を売り込んだコンテンツは、読み手にとっての価値が下がります。価値が低い、または無意味なコンテンツではユーザーはコンバージョンしません。

「価値のある」コンテンツとはなんでしょうか? 価値のあるコンテンツは、的を射ているのはもちろん、次の点も考慮されている必要があります。

  • ユニーク:他人の主張を繰り返した話や「これです」だけのフォーラムはわずらわしいだけです。同じことはコンテンツマーケティングの記事にもいえます。効果的なコンテンツは、言い古されていないことを書いたり、新しい観点からトピックを取り上げたりします。
  • 消費型(Consumable):2ページすべてテキストで埋め尽くされたページや、11分間も淡々と話し続ける動画を見たい人はいないでしょう。消費型のコンテンツは短く、「消化しやすい」ように小分けにされています。これも売り込むポイントです。解釈したりいろいろ考えたりしなくてもいいような形で情報を提供すると、会社の権威と信頼性のイメージが高まります。
  • 魅力的:Webサイトに対するユーザーの印象は、最初のアクセスから0.5秒で決まります。さらに95%は視覚的なデザインに基づきます。ユーザーにとって「価値ある」コンテンツは、すてきな見栄えのコンテンツのことなのです。カラフルな視覚効果、イラスト、写真、スクリーンショットを使って大切な点を強調し、商品や機能をアピールします。どんなデザイン要素にも、ストックフォトはおすすめしませんサラダを食べる幸せなら別ですが。

表面的な指標をゴールに設定するのは避けるべきだと書いたことを覚えていますか? 実際には、表面的な指標が適していることもあります。コンテンツがサイトへの流入、拡散、契約に繋がらないのであれば、付加価値がない、もしくは低品質のページといえます。

5.多様性に欠ける

コンテンツの重複を避けるのは望ましいことですが、コンテンツ内の要素を一度しか使わない方が良いわけではありません。コンテンツの各部分を異なる方法で3~4回、むしろ5回使うように計画するのが良いでしょう。

どうすれば実装できるのでしょうか。複数の方法で実装可能です。

「コンテンツマーケティング」は、大半の人はブログと考えます。ブログはコンテンツマーケティングの大きな部分を占めますが、唯一の経路というわけではありません。たとえば、会員やオーディエンスが訪れるサイトをすべて考慮に入れて考えてみましょう。

  • Facebook
  • Twitter
  • Pinterest
  • Quora
  • reddit
  • YouTube
  • SlideShare

それぞれのサイトに合わせてコンテンツの一部のフォーマットを変更します。ブログの「すごい!」と思う印象的な投稿を基にして以下のものを作成できます。

  • インフォグラフィック
  • 動画
  • スライドショー
  • PDFチェックリスト
  • Eメール
  • 製品デモのウェビナー(オンラインセミナー)

1つの記事を6つの別のフォーマットに簡単に投入できるのです。それぞれのフォーマットをカスタマイズすれば、集客段階で個別のペルソナにアピールできます。

6.感情に訴えていない

「自分は理性的だ」と思っても、人はそれほど理性的ではありません。製品を買うときは特に理性を失いがちです。そこで、効果的なのは製品やサービス、ブランドに結びついた感情的な反応を引き起こすことです。感情を動かすコンテンツが作れなければ、当然コンテンツマーケティングは台無しになります。

とはいえ「心を動かすコンテンツを作りなさい」だけでは良いアドバイスではありません。そこで、ペルソナを作成した理由に繋がるのです。

作成した各ペルソナの欲求、必要、課題やフラストレーションを思い出してください。そこに訴えるコンテンツが、カスタマーとの感情的な結びつきを築くのです。運営しているビジネスがカスタマーの生活に付加価値を与え、カスタマーの目標達成や障害の克服に役立つことを説明してください。カスタマーの心理を掘り下げて考えることで、真に心を動かすコンテンツを作成できます。個人が使う製品ではとても大切なことなのです。

最期のポイントです。緊急性を醸し出してください。見え透いたものであっても、カスタマーの購買欲に火をつけ、コンバージョンにつながるでしょう。緊急性の表現は主に2つあります。

  1. 短い期間の特別オファーを用意します。ディスカウントや特別価格がすぐに終わってしまうと分かれば、チャンスを逃さないためにも飛びつくでしょう。オファーをしばらく継続させると、その間に競合他社をリサーチして決断しません。考え直してなにも買わないかもしれません
  2. あなたが提供する商品・サービスがすぐに利益になることを強調します。人は刻々とコンバージョンをしなくなっていきます。幸福や安全、ビジネスチャンスなど、提供できる価値から興味を失うのです。比較や比喩、例を駆使して、いますぐにコンバージョンしないことでどれだけチャンスを逃すか示します

カスタマーとの繋がりは共有の経験によって構築されます。すべてのカスタマーの信頼を得ることはできなくても、コンテンツを通して繋がることはできます。

  • イースター・エッグ:イースター・エッグはメディアの中に隠されたちょっとしたジョークやリファレンスです。リファレンスを見つけた人びとは特をした気分になるので、あなたのブランドとの繋がりを作るのに適した方法です。
  • ノスタルジア喚起広告:ノスタルジア喚起広告がパワフルな広告ツールであることは言うまでもありません。ビジネスがそれほど古いものでなくても、ターゲットオーディエンスの時代の流行やポップカルチャーで、懐かしい気持ちとブランドを結びつけます。

最適化、最適化、最適化…

コンテンツマーケティングはデジタルマーケティングの1つなのですから、もっとも大きなミスは、テストや最適化、改良をしないことです。コンバージョンを最大化するために、定期的にペルソナやファネル、メッセージ、流通チャネルを改良すべきなのです。

(原文:6 Common Mistakes That Tank Content Marketing

[翻訳:中井 千尋/編集:Livit

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