ゴールデンウィーク、いかがお過ごしだったでしょうか。
カリフォルニア州バークレーは、カラリとした晴天が続き、気温も23度ほどと過ごしやすい陽気が続いています。これからの季節、時折暑い日もありますが、日本のじめじめした梅雨時や蒸し暑い真夏のシーズンは、サンフランシスコ周辺への旅や出張は、とても快適だと思います。
そんなバークレーで、最近目にするようになったのが、黒いトヨタの「Prius C」です。これは小型のハイブリッドカーで日本ではアクアとして販売されているもの。ルーフには水色の、自転車などを搭載できるレールが付いていて、ちょっと印象的です。
車体には「Gig」と書いてあるこの黒と水色のPrius C。1台見つけたら、途端にたくさん目につくようになりました。バークレーの街を南北に貫くシャタックアベニューや駅前周辺、自宅近くのスーパーの脇の道路など、すぐ目につくところに大量に止まっているのです。
米国のロードサービスでおなじみの
AAAが始めたカーシェア
クルマをよく見てみると、AAAの名前がありました。AAAといえば、米国ではおなじみのロードサービスを提供する「トリプルエー」のこと。このAAAが、バークレーとその隣のオークランドでスタートした新しいカーシェアサービスが、このGigというわけです。
Gigのサービスはシンプルで、1マイル(1.6km)で2.5ドル、1時間15ドル、1日借りると85ドルです。入会時のプロモーションコードで、85ドル分のクレジットが付いてきます。それでみんな一斉に乗り出したというわけでしょう。
バークレーでは、ZipcarやCity CarShareといったカーシェアリングサービスがすでに存在していて、街の中のさまざまな駐車場に、この2つのブランドのカーシェアリング用のクルマが駐車されている様子を見ることができます。
しかし、Gigにはそうしたカーシェア用の駐車場というものが発見できません。それでもこうしてサービスを開始しているというのはなんらかのからくりがあるはずです。
路上や駐車場など、どこに停めてもOKの仕組みがスゴい
専用の駐車場がないカーシェアサービス。しかも路上駐車が多い。このあたりが、Gigのサービスのヒントと言えます。
これまでのカーシェアサービスでは、止まっていた場所にクルマを返さなければならないことがほとんどでした。そのため、買い物のためのチョイ乗りや、レジャーで1日使って、また元の場所に返すという使い方になっていました。
しかしGigの場合は、バークレーとオークランドの市内(HomeZone)であれば、路上駐車や公共駐車場への乗り捨てがOKなのです。各車には、オークランドとバークレーの年間駐車許可証が取られており、使う人が駐車代を払う必要はないのです。
これはカーシェアでなくても、自動車をバークレーやオークランドで使う上でのストレスが一挙に減ります。こちらでも駐車の取締は頻繁に巡回しています。なのに、パーキングメーターがあるところでも駐車代を払わなくても良いし、2時間までという路上駐車の制限も関係なく、乗り捨てることができます。
しかも、駐車してもキープしておきたければ、そのクルマにログインしっぱなしにしておくこともできますし、リリースして他の人にクルマを開放することもできます。街中での利用を考えると、よりフレキシビリティが高いサービスと言えます。
スマホアプリで空いているクルマを探せる
このGigはバークレーとオークランドだけのサービスですが、250台のPrius Cを投入していること、筆者が店舗の多いエリアに住んでいることで、頻繁に見かけるのかもしれません。
なお、専用の駐車スポットがないGigを街中で探すには、アプリを使います。言ってみれば、Pokemon Goと同じ要領ですが、出現率はもう少し高めという印象がありますね。アプリでその場所のクルマを予約し、30分以内に乗車して利用するだけです。
筆者の自宅周辺を見てみても、たくさんのクルマが駐車中です。リストを見ると、車種はPrius Cしかないので料金はどれも同じなのですが、ガソリンの残量と到達距離も確認できます。
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