IFAは毎年秋にドイツ・ベルリンで開催される世界最大のコンシューマーエレクトロニクス展示会だ。
2017年は9月1日開幕だが、それに先立ち、世界50ヵ国から300人の報道関係者を集め、ポルトガルのリスボンでプレスカンファレンスを実施した。
IFAはテレビ展示会から始まり、民生機器の総合展示会へと成長してきたのだが、白物家電をジャンルに入れてから今年でちょうど10年になる。
IFA2017はスタートアップ応援団なのだ
2016年は展示場の面積を1万平米広げ「IFA Global Markets」という別会場を追加した。OEMやODM、パーツメーカーを集めたゾーンで今年も継続する。
2017年の新企画は総面積はそのままで「IFA NEXT」というゾーンを新設すること。ここには、スタートアップや大学の研究室、革新技術をもった出展を集める。
IFAの基調講演やカンファレンスも同じHall26で行なわれるので、自然に報道や業界関係者の目に触れるという仕組みだ。
ちなみに、2016年に欧州でよく売れたのはヘッドフォン2980万台、Bluetoothスピーカー1330万台、スマホを入れて使うヘッドマウントグラスとHMD合計220万台、そして飛行型ドローンは予想を超えて180万台も売れた。
さらに大売れしたのが、AmazonのAlexaを筆頭とするスマートスピーカー。2016年は前年の5倍近い500万台が出荷され、2020年には2500万台近くに上り、総利用者数は5900万人になるという。ちなみに市場はAmazonとGoogleが2分するという予想だ。
調査会社による最新の市場動向
テレコミュニケーションとIT機器、民生機器を合わせたデジタル製品の世界市場規模は、2015年が9480億ドル、16年が9490億ドルだったが、17年は9450億ドル、18年は9540億ドルと安定成長予想。
スマートフォンを中心として、テレビも食洗器もコーヒーメーカーも体重計も、ネット接続できる製品が消費者に届き始めた結果であるという。
2018年のデジタル製品の市場シェアは北米23%に対し、中国が同じく23%と同率世界一へ成長。中国を除くアジアも18%と、西欧の16%を抜く勢いだ。
もちろん牽引するのはモバイル通信機器=スマートフォンで、出荷台数は2015年の13億台から、2018年には15億5000万台とまだまだ伸びる。
2016年は14億1000万台で、5人に1人が新しいスマホを購入したことになる。スマホと連動して、モバイル決済、VR・ARゴーグル,スマートホーム、接続可能な自動車やウェアラブル機器は成長を続ける。
テレビも相変わらず堅調で、アジアが市場拡大を牽引する。また、4Kテレビは2016年のシェア23%から、2020年には半数を超える52%へと成長する予想だ。
テレビの視聴時間は世界の平均が1日183分(!!)で、いちばん長いのはサウジアラビアの404分、一番短いのはアイスランドの110分。
テレビの視聴スタイルも国によって異なり、シンガポールではPC、インドではスマホでTVを見る人が、他国より多い。ちなみにアジアで40型以上の大型テレビの所有率が1番高いのはシンガポールだそうだ。
白物家電を牽引するのは、冷蔵庫、洗濯機、コンロ、食洗器までいわゆるスマート家電である。小型家電の世界市場も年5%で成長し続けており、2016年は605億ドル規模となっている。
スティック型やロボット掃除機、特に中国での空気清浄機に加えて、電気湯沸かし器やヘアドライヤーも成長株だ。
イノベーティブな製品としては、モバイル型のネイルプリンター、洗浄不要や真空式のジューサー、ビールサーバーなどが注目株だ。
パネルディスカッションでは、AIが世界を変えるというテーマで、5ヵ国の代表が登壇。会場からは、今のAIブームを疑問視する意見やアシモフのロボット三原則を暗唱する強者も登場して、会場を沸かせた。
行くぞIFA2017
IFA2107は、スタートアップを応援しつつ、9月1日に開幕する。AmazonとGoogleの対決も楽しみだし、近年はPCの新製品発表も多い。9月はみんなでベルリンを目指すのだーーー。