4月18日、さくらインターネットは昨年から提供してきた「さくらのIoT Platform β」の正式版として、IoTプラットフォーム「sakura.io」をいよいよ開始した。「だれもが、データを活かせる世の中へ」をコンセプトに、通信モジュールも8000円台で提供し、組み込みやすいライセンス方式を用意した。
通信、データ保存、サービス連携を包括的に提供
sakura.ioのサービス概要は、昨年から行なってきたさくらのIoT Platform βから大きな変更はない。通信モジュールはキャリアのLTE閉域網を介して、sakura.ioに接続し、データを送受信する。「電気信号とJSONを相互変換するプラットフォーム」として、デバイス側からはI2CやSPIなどのシリアルインターフェイス、クラウド側からはJSON形式のデータが見えることになり、間の通信やデータ保存、サービス連携などを包括的に提供する。
通信モジュールは、電源を入れるだけで自動接続し、sakura.ioにデータを保存できるほか、モジュールのアップデートや時刻提供などの機能が用意される。正式版からは新たに簡易位置情報提供サービス(月額30円)やファイル配信などの機能も追加し、ユーザーの開発負荷を大きく削減するという。
連携機能も標準で提供され、Node-RED、Yahoo! myThings、AWS、Azure、IBM Bluemixなどとの連携が可能。通信は閉域網を採用し、外部からはAPIによるアクセスのみ可能であるため、インターネット経由でのIoT制御に比べてはるかにセキュアな設計となっている。
組み込みをやりやすくするライセンス方式も用意
今回は「sakura.io」のサービス名とロゴのほか、正式な価格が発表された。同日販売開始となるLTE単体方式の通信モジュールは8000円で販売されることが決まり、利用料もモジュールあたり月額60円と発表された(ともに税別)。当初から目指していたモジュール価格1万円以下、月額料金100円以下を実現したことになる。
通信モジュールとsakura.io間の通信はsakura.ioポイントを消費し、1回の通信あたり1ポイントを消費する。通信モジュールには1万ポイントが含まれており、月額利用料金を支払うごとにさらに毎月1万ポイントが付与される。付与されるポイント以上の通信を行なう場合、2万ポイントあたり100円で追加購入することが可能だ。通信モジュールは5月中旬以降に順次発送される予定だ。
通信モジュールは単体での販売のほか、90台セットにしたトレイでの販売、さらにライセンス方式の販売も開始される。ライセンス方式は、形状を変更したり、同一基盤に載せたいといったニーズに応えるべく、SIMやバイナリ、モデムなどの通信モジュールの必須部品を提供する「ハードウェアライセンス方式」、自社ソフトウェアに組み込みたいというニーズに応え、SIMやプロトコル仕様書、ライブラリ、製造・検査手順書などを提供する「プロトコルライセンス方式」が用意される。
LPWA(Low Power Wide Area)への取り組みも強化。920MHz帯のLoRaや2.4GHz帯のゲートウェイ方式も準備を進める。このうちLoRaに関しては2017年6~10月に行なうテストのメンバー募集も開始。モジュール価格5000円以下、基本料金20円以下を目指して、開発を進めるという。
さくらインターネットは、sakura.ioのサービス拡充とともに、情報銀行の取り組みを推進すべく、日本総合研究所とともに「Smart Informations Banking Consortium」を組織化。地方自治体や研究機関、企業、スタートアップなどとともに、データの保護と利活用を可能にするエコシステムやプロトタイプの開発を進めるという。また、パートナーエコシステムの拡充も推進。発表会の会場では、パートナーであるエイビット、共立電子、HARMONIQUAの3社が登壇し、sakura.ioパートナーとしての意気込みをアピールした。