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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第157回

Adobe Summitで見た人工知能によるマーケティングの変化、そして「型」を作るいうこと

2017年03月23日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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クリエイターは「型」を作ることが重要に

 クリエイターやマーケッターからすると、こうした異なる人工知能の連携で「自分たちの仕事がなくなる」というイメージは簡単に持つことができるでしょう。実際、属性ごとに1つずつ画像やウェブサイトを組み上げる必要もなくなりますし、キーワードを決めてかかる必要もありません。すべてはデータが知っているからです。

 しかし、データが人々の体験の全てを作り出せるかと言われるとそうではないでしょう。特にどんな体験を提供したいのか、という根本的な設計を、人工知能が行なってくれるわけではないからです。

 そうした世界においては、日本人のセンスは有効ではないかというのが今回筆者が言いたいことです。

 顧客それぞれに対して、最適な体験を考える時に必要なのは、自由度の高い体験の核を考える事です。その核を含む形でさまざまな顧客に合わせた体験を提供していく事になります。核を考えるのは、やはり引き続き、クリエイターとマーケッターのコラボレーションであり続けると思うのです。

 その核は、多様な人のさまざまな体験を支える存在であり、その企業の体験の“型”のようなものです。そしてその型を作ること、その型のクリエイティブは、日本人の得意技ではないかというアイディアです。

 型のアイディアを考えるとき、寿司を思い浮かべると良いでしょう。寿司はシャリの上にネタを乗せる、という型で展開されていき、世界中に普及しました。盆栽もそうですし、笑いのパターンなんかもそれに当てはまるでしょう。

 何を決めて、何を自由にするか。今までは自由演技の部分が人によるものでしたが、これからは機械が演技する。そう考えて、型のクリエイティブ、型のマーケティングと捕らえれば、人工知能時代が少し怖くなくなるのではないでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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