NECと日本オラクルは2月14日、クラウド領域での提携を発表した。NECの国内データセンターから、Oracle Cloud完全互換のマネージドクラウドサービスを2017年第2四半期より提供する。
今回の提携では、NECのクラウドサービス「NEC Cloud IaaS/PaaS」などが稼働する国内データセンター内に、Oracle Cloud互換のクラウド環境を構築するアプライアンス「Oracle Cloud at Customer」を配備。NECの運用・サポートのもとで、顧客にOracle CloudのIaaS/PaaS機能を専有型のマネージドサービスとして提供する。
また、顧客のオンプレミス環境にあるOracle Cloud at Customerの一次保守も開始し、パブリッククラウドのOracle Cloudと連携したハイブリッドクラウド環境まで一元的な保守を提供する。
NECとオラクルの協業の歴史は長く、30年前の1987年に初めてのOEM契約を締結している。2012年にはNECが国内ベンダーとして初めて「Oracle Exadata」の一次保守サービスを開始、最近では2016年に「Oracle Engineered Systems」の一次保守対応を始めた。
現在、NECは国内最大級のオラクルパートナーベンダーであり、オラクル関連の対応システム案件数は年間約3000件、オラクル保守契約システム数は約1万5000システム、Exadataの出荷台数は累計200台にのぼる。NECグループ全体で約4000人のオラクル技術者をかかえている。
今回のクラウド領域への協業拡大に際して、NECでは、今後3年間で1500人のOracle Cloud対応エンジニアを育成する計画だ。「これまで、主にオンプレミス環境のオラクル製品を専門としてきた技術者をトレーニングし、Oracle Cloudのハイブリッドクラウド環境の運用管理や、既存システムからOracle Cloudへの移行を支援できるようにする」(NEC 執行役員 橋谷直樹氏)。
NEC版Oracle Cloud at Customerの付加価値として、NECが保有する地方公共団体向けソリューションや医療機関向けソリューションなどの業種特化パッケージを、Oracle Cloud at Customerを基盤したSaaSの形態で提供していく。将来的には、NECのIoTプラットフォーム「NEC the WISE IoT Platform」に、Oracle Cloudのデータ処理機系サービスやデータレイク、DWH、BIなどの機能を連携させて、IoT基盤の領域で競争力をつけたい考えだ。
日本オラクル 執行役 副社長 クラウド・テクノロジー事業統括 石積尚幸氏は、今回の提携の目的について、特にNECグループが全国に展開している販売・サポート網を挙げた。「これまでオラクルがつきあってきた顧客はエンタープライズ企業が多かったが、クラウドビジネスを始めると、小規模な企業や、飲食チェーン、地方自治体などがお客さんになる。ここで、NECのカバレッジを利用させていただく」(石積氏)。