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あなたのWebサイトを最強の営業マンに変える!4つの速効テクニック

2017年02月07日 23時00分更新

文●Aja Frost

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人海戦術で名刺を集め、アポを取り、訪問して商品を売り込む。そんな時代はもう終わり。Webサイトを営業マンの代わりに機能させるために、即効性のある4つのアイデアを紹介します。

営業に人材を雇うと非常にお金がかかります。Sales Benchmark Index(SBI)の2007年度の報告書によると、営業にかかる人件費の平均額(報酬、出来高、経費を含む)は毎年17万6468ドル(約2028万円)。営業電話を1本かけるごとに287.56ドル(約3万3000円)かかっている計算になります。

このような状況では、営業部の縮小、または完全な廃止さえ検討するビジネスや組織が多いのも不思議ではありません。

このような背景もあって、タッチレス(セルフサービス)モデルの時代が到来しました。従来の企業では、営業部が、毎月または四半期ごとにリード(新規見込み客)を販売員に引き渡すという方法で仕事をしてきました。販売員が新規見込み客から顧客にできると判断すれば、契約や購入プロセスに入る仕組みです。

タッチレスの場合、買い手自身が購入プロセスに進むことになります。製品のメリットなどを販売員から聞くのではなく、オンラインで読むスタイルです。また、製品のオンラインデモを黙って見続けるのではなく、無料トライアルに登録するか、製品ビデオを視聴します。

このようになれば、企業側が支出を節約できるだけでなく、買い手も購入プロセスを自分のペースで進められるようになります。つまりはWin-Winです。

このスタイルを実現させるには、オンラインインターフェイスを自分の「営業部」として使っていく必要があります。そして「タッチレス・セールス」を可能にするには、以降にあげる4つの要素、またはいくつかをオンラインに編入する必要があります。まだ営業プロセスを完全に自動化するには準備ができていないという人も心配ありません。次の4つの方法を使えば、営業チームからWebサイトへのウェイト移行がきちんとできます。

1. ROI計算ツール

見込み客は製品の価値を見極める際、その製品が自分の生活にどのように変化をもたらすのかという情報を必要としています。

ROI(投資対効果)計算機は、見込み客にその価値を実際に計算してもらうためのすばらしいツールです。ほとんどの場合、企業の製品またはサービスによってどのくらいのお金を節約できるのかというデータがありますが、生産性、時間の節約、効率性、便利さについての客観的なデータも得られます。

製品にさまざまなメリットがあるのなら、メリットをデータ化できる計算機を作るのがおすすめです。たとえば、エンゲージメント率を30%上げられる、あるいは雇用時間を10日間短縮できるといったデータを提示するのです。そうしたデータを見れば、見込み客は自分の会社の現在の「予想エンゲージメント上昇率」や「予想雇用時間短縮率」を計算できるようになります。

下の図はTrimpleのROI計算機です。1年後から5年後までのROIはもちろん、作業員の効率性がどのくらい向上するかまで分かるようになっています。

Trimble ROI Calculator

TrimbleのROI計算機

2. リソースライブラリー

通常、販売員は見込み客がなにか質問する前から、聞かれていもいない質問に答えようとするものです。では、見込み客自身もその隣にいる販売員も聞いたこともない質問の可能性について考えてみてください。その可能性はとても低いものです。

営業部員に毎回同じ回答をさせるより、ナレッジベースを作ったほうが得策です。ナレッジベースがあれば見込み客が欲しい情報を瞬時に、販売員に尋ねずに探せるからです。見込み客の知識を高めるだけでなく、効率を上げられます。

いま実際に営業部を抱えているなら、見込み客からどのような質問を一番多くされているのかを尋ね、それぞれの質問を小さな項目に分割します。

営業部がない場合、見込み客にインタビューして、どのようなことについて一番知りたいのか、そしてなにか分かりにくい点があるかを探ってください。

Segment

SegmentのFAQが良い参考になります。長いですが、びっくりするほどの長さでもありません。あまり聞かれない質問については別セクションで答えるようデザインされている点が賢いところです。また、カテゴリー化も上手でナビゲートもしやすくなっています。

3. 有料コンテンツの時間軸を戦略的に設定する

Timed paywalls

Apple Music

タッチレス販売モデルを稼働させるには、見込み客に製品の価値を自分自身で見つけてもらわなければなりません。必要なのは「語る」アプローチではなく、「見せる」アプローチです。

この戦略にはいろいろな方法が使えます。まず、無料トライアルをデザインするという方法です。たとえばアップルでは、新規カスタマーがアップルが提供する音楽ストリーミングサービス、Apple Musicを3カ月間無料で利用できるようになっています。3カ月後、カスタマーは月額9.99ドルを支払ってサービス継続するか、キャンセルするかを決められます。

コンセプトは単純です。カスタマーは「無料だから」という理由でApple Musicに登録して機能やUIを覚え、自分の音楽ライブラリーを作ります。そしてApple Musicに夢中になってきたところで無料トライアルが終了するという仕組みです。

次に、製品を2パターンで提供する方法があります。たとえば、無料だが制限があるもの(いわゆるフリーミアム)、そして有料のプレミアム版です。

Dropboxがその古典的な例です。無料のBasicアカウントでは2GBの容量が使えますが、Dropbox Proの月払いまたは年間払いの場合は1TB利用できます。2GBは容量としては決して大きくはありません。ストレージを最大まで使ったあと、ファイルをどこか別のプラットホームに移すよりはアップグレードしたほう良いというユーザーもいます。

2016年3月時点では、Dropboxユーザー50万人のうち約17万5000人が有料会員です。

鍵は、ユーザーに時間、労力、個人データを製品に対して投資してもらうことです。それには数カ月、少なくとも数週間はかかると思うかもしれませんが、Typeformはほんの数分で達成しています。

TypeformのWebページでは、新規訪問者には最初に調査フォームを作らせています。レイアウトは分かりやすくフレンドリーでインストラクションも明快、操作も直感的ですが、完成した調査フォームを保存するにはアカウントが必要になります。また、Typeformでは調査フォーム作成プロセスの要所要所でアップグレードを勧めるメッセージが登場します。たとえば、調査フォームに入力してくれた人へのお礼ページなど、有料版にしかない機能を紹介するメッセージが表示されます。

4. トライアル期間の拡大

音楽ストリーミングサービスのトライアル期間を短くしろと要求するユーザーはいません。しかし実際のところ、もっと実用的な製品の場合なら、トライアル期間が30日間ではユーザーが離れてしまいます。1カ月は長いので、買うかどうか決められない人は逃げてしまうかもしれません。

ProdPadが実践しているもっと賢い戦略を参考にすべきです。無料トライアルの期間は7日間ですが、特定のマイルストーンを達成すれば時間を稼げるようになっています。

Prodpad Expanding trial

トライアルをゲーム化すればユーザーのエンゲージメントを自動的に向上させられるだけでなく、ProdPad自体もコンバージョンにつながるキーアクションを宣伝できます。例をあげれば、アイデアを追加すればトライアル期間がもう1日増えるという仕組みです。ユーザーペルソナを設定すれば2日間追加できます。プラットホームを利用できる時間は実際には無料特典ではなく「報酬」になっているのです。

この戦略を活用するには、最初にベストユーザーのキーアクションや行動を見定めてください。無料会員に対する有料会員、ベーシックまたはプロに対するプレミアム、エンゲージメント率が高い、またはトラブルメーカーになる可能性がもっとも低いなど、「ベスト」の意味はビジネスモデルごとに異なるので注意してください。

たとえば、カスタマーのうちアクティブユーザーの85%が、10カ月後、登録から1週間以内に社内の知り合いをプラットホームに招待したとします。第2のユーザーを取り込むことによって第1のユーザーのキープ力も高まっているということです。これは、ユーザーが同僚をアカウントに追加した場合、無料トライアル期間が2日増えるというシステムを作れば実現できるのです。

(原文:4 Ways to Turn Your Site Into Your Best Salesperson

[翻訳:加藤由佳/編集:Livit

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