2017年1月に開催された家電見本市、CESの主役はAmazonの音声デバイス、Amazon Echoでした。別に新製品が登場したわけではありませんが、各ブースではAmazon Echo対応をうたった製品が並んでいました。
Amazon Echoは、「スキル」と呼ばれる機能を開発者が追加することができます。インターフェースは音声での受け答えですが、ユーザーがなんらかの命令を発すると、それを対応するサービスや他のデバイスへ受け渡し、目的を達成することができます。
AmazonがCESのステージで開かしたデータによると、すでに7000ものスキルをサポートしているとのことです。
まずはワイヤレススピーカーとして家庭内に入り込む
Amazon Echoには、円筒型のオリジナルモデルEchoと、スパイスケースのような背の低いEcho Dot、そしてポータブルタイプのTapの3機種が用意されています。いずれも、音声アシスタントAlexaをサポートしていますが、家庭内に据え置き型で利用するのはEchoとEcho Dotの2機種です。

Amazon Echo
これらは音声コントロールよりは、まずはワイヤレススピーカーとして、家庭内に入り込もうとしています。
Amazon Echoのメリットは、直接インターネットに接続して、ストリーミング音楽を再生できるようにする点です。セットアップを済ませれば、Amazon Music Unlimitedはもちろんのこと、Spotify、Pandra、iHeartRadioなどの音楽を、ペアリングするスマートフォンやタブレット、PCなしで再生できます。
筆者は同じようにWi-Fi接続機能を備えるスピーカー、SONOSを利用してします。こちらはApple Musicをサポートしています。SONOSが便利なのは、iPhoneで選曲をしてスピーカーから音楽を再生しているときに、iPhoneで他のビデオなどを再生しても部屋の音楽が途切れない点です。
iPhoneからBluetoothスピーカーで音楽を再生しているとき、手元でYouTubeのビデオを見たり着信があると、部屋の音楽は止まってしまいます。場合によっては、ペアリング先のスピーカーが通話状態になってしまい、一人ならよいのですが、他に部屋に誰かがいるとき、通話がダダ漏れになってしまいます。
Wi-Fi対応のスピーカーでは、スピーカーが直接音楽再生をコントロールするため、スマートフォンの音楽再生のリソースを割かずに済むのです。ストリーミング音楽サービスが主流になると、こうしたWi-Fiスピーカーの重要性はより高まっていくとみています。
Amazon Echoの初期の訴求ポイントは、このWi-Fiスピーカーという点。これは音楽がある室内の環境を大いに快適にしてくれる、購入するに値するツールなのです。
Amazon Echoはどんな命令を受けているのか
Amazon Echoは、音楽ストリーミングサービスに加入している人にとって、キラーとも言うべきスピーカーです。Spotifyに加入していればもちろん利用できますし、Amazon Primeメンバーなら月額7.99ドルでAmazon Music Unlimitedが利用できます。
そうした人々から浸透していくAmazon Echoの本丸は、音声アシスタントです。やっとここで冒頭にご紹介した話が出てきます。
現在、Amazon Echoのスキルで最も使われているのは、音楽再生、タイマー設定だそうです。これに加えて、スマートライトの制御、ニュース読み上げ、ショッピングカートへの商品の追加などだそうです(https://www.statista.com/chart/6080/amazon-echo-usage/)。
スマートライトというのはほとんどの場合、フィリップスのLEDライト「hue」のことでしょう。
AppleのHomeKitなどを含めたスマートホーム関連の製品の中で、最も導入の価格や設置などを含めたコストが安く、手軽なものがhueです。米国であっても、それ以外のもので簡単に導入できるものはそうそうないのです。アパートだと、勝手にサーモスタットをNestに変えて良いかもわかりませんし。
たとえば、Nest CamのようなWi-Fiで家を監視するウェブカムは設置しやすいですが、電球のようにすでに家にあって使ってきた家の中のものをリプレイスするという役割ではありません。新たに設置するものという扱いです。
考えられるスマート化可能なもので、導入が比較的簡単なものを見渡すと、電気ポット(これは日本人過ぎますか)、コーヒーメーカー(ハンドドリップ派は不用)、キッチンタイマー(実は複数のタイマーが家の中にあると便利)、植木鉢(定期的に水やりしてくれればコントロールは不要か)、ソファー(座りすぎを通知してくれるとか)。
個人的には、日本酒を適切な温度にしてくれるお燗・冷酒のスマートデバイスが欲しいのですが、ちょっとそんなものはなさそうですよね。
そもそも、ちょっと筆者の自宅はモノが少なすぎて、今あるもので置き換えようがなかったりするのですが……。無理矢理、洋服ダンスや靴箱といっても、これはなかなか買い換えるのが大変そうですし。
公開当初、記事タイトルが誤っておりました。お詫びして修正いたします。(2/8 13:00)

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